ストーリー

□スーパースター
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「…1年?」
「ああ」






ソウとホテルに泊まった朝。

目が覚めると、ソウはもう起きていた。


あれ、私…昨夜……あ!!
バーでカクテル飲んだらなんだか気分が良くなって…
うわー…恥ずかしい。
ソウに迫ったりして…


色々思い出して恥ずかしくなり、モゾモゾと動くと、
ソウがそれに気付きこっちにやって来て、
ベッドに手をつき、シーツを捲る。

「おはよ」
「…おはよ」

ソウの顔が近づいてきて、優しくキスされる。

唇を離し、頭を撫でると、
ソウはソファーに座り直し、コーヒーを啜る。

私は身体を起こした。

「…ねぇ、ソウ?」
「んー?」

ソウは新聞を読んでいるらしく、目を離さずに返事をする。


ソウのハリウッド進出が決まってから、ずっと聞きたい事があった。


聞いてみようかな…


「ソウ、映画の撮影、どれくらいかかるの?」

ソウがこっちを見る。
その目は強い光を宿していて、

「…1年だ」



「…1年?」
「ああ」



それなりの覚悟はしてたけど、実際にソウから直接言われると、胸が痛い。

「…そっか」

声が震えそうになるのを抑え、ベッドから下りる。

「シャワー浴びてくるね」



+++



キュ、と蛇口を捻り、熱めのお湯を浴びる。



私って、なんでこんなに心が狭いんだろ…
弱いんだろ…

ソウの事、応援したいのに。
少しの間会えなくなるってだけで、
素直に応援できない。
行かないで、って言いたい。





+++



シャワーを浴びてバスルームを出ると、
ソウがコーヒーを煎れてくれてた。

「飲むだろ?」
「うん、いただきます」

ソウと並んでソファーに座る。

「…美味しい」

フッ、とソウが笑ったと思うと、

「コーヒーでは酔っ払うなよ」

そう言われて、昨夜の事を思い出して赤面する。

「だ、大丈夫!」
「たまにはいいけどな」

ニヤニヤ笑うソウ。

「も、もう!からかわないでよ」
「ハハ、分かったよ」



少し笑った後、急に真面目な顔になったソウは、

「俺、今度の映画、絶対成功させたい」

映画に対する想いを語りだした。

「アイドルの延長じゃなく、俳優として認めさせたい。…親にも、世間のヤツらにも。それにお前にも」

私の目を見つめるソウは凄く真剣で、
私は何も言えなかった。




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