ストーリー
□寝顔
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誰も本当の俺を見てない。
作りあげられた虚像だけ。
俺はいつも一人。
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陽の光の眩しさで目が覚める。
隣に誰かの寝てる気配。
…あぁ、そうか。
昨夜の事を思い出す。
初めて見る、お前の顔。
初めて聞く、お前の声。
初めて感じる、お前の身体。
全てが俺を熱く、狂わせる。
こんな感覚、初めてかもしれない。
俺はお前が好きで。
お前も俺が好きで。
気持ちが通じ合うだけで。
こんなに違うものなのか…
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本当の俺を見てくれた。
そんな女、今までいなかった。
“二ノ宮ソウ”じゃなく
“二ノ宮壮”を。
ただそれだけなのに。
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「…うぅん…」
寝返りをうつお前は、凄く幸せそうな顔。
そんなお前を見てるだけで。
俺までなんだか幸せを感じる。
そんな自分に驚いて。
悪くないな、
と思う。
さらにそんな自分に驚いて。
自然と笑みが零れる。
コイツってすげーな。
どんだけ俺を幸せにしてくれるんだろ。
俺はお前にずっと笑っていて欲しい。
見てるこっちまで笑顔にするそれで。
その為なら、
何でもしてやる。
早く目覚めないかな。
早くお前にキスしたい。
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俺はやっと出逢ったんだ…
お前と。
終わり