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□水槽(h&t)
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冷たいフローリングの床に、もう何時間も転がっている。
まるで死体の様に。
誰の手も下されず、生きたまま死体になる。何もかも投げ出したくなったら、こうして世界から離脱すればいいのだ。
いつも見ている家具の足が、今は目の前にある。
その風景がおかしくて、テツは何となく笑った。
床に投げ出された自分の手を見つめる。
体の芯から冷えきっている。
カーテンで遮られた光は柔らかく変化して、この部屋へ降り注ぐ。
世界は明るく、時は進んでいるのに、テツだけがここに取り残されている。