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□傷口
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血の滲む指先
この傷を付けたのは
誰だっただろう?
傷口を開き
自らの手で新たな血を流す
赤く染まる爪の汚れに舌打ちし
だが決して
拭う事はしない
止まらぬ血を眺めては
遠い過去に置き去りにしてきた思いを
微かに嘲笑う
幾度も塞がりかける傷を
何故癒そうとしないのか
今も分からずにいた
人の声が
騒音にしか聞こえない
いつしか笑い方さえ
忘れてしまった
流した涙に行き場など無く
ただ無意味に枯れて終わるだけ
これから何をすれば良い?
これから何処へ行けば良い?
照らされる事のない闇を抱え
また
この傷を深くする