□傷口
1ページ/1ページ

血の滲む指先
この傷を付けたのは
誰だっただろう?

傷口を開き
自らの手で新たな血を流す

赤く染まる爪の汚れに舌打ちし
だが決して
拭う事はしない

止まらぬ血を眺めては
遠い過去に置き去りにしてきた思いを
微かに嘲笑う

幾度も塞がりかける傷を
何故癒そうとしないのか
今も分からずにいた

人の声が
騒音にしか聞こえない
いつしか笑い方さえ
忘れてしまった

流した涙に行き場など無く
ただ無意味に枯れて終わるだけ

これから何をすれば良い?
これから何処へ行けば良い?

照らされる事のない闇を抱え
また
この傷を深くする

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ