Un romanzo
□羽
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「疲れた〜」
「最近やってなかったしな」
白いサッカーボールを抱えながらイタリアが芝生に倒れ込む。
イタリアにせがまれて庭でサッカーをしたが、久しぶりだったせいかとても疲れた。寝っ転がるイタリアの隣に腰を下ろす。
どこまでも続きそうな空を見上げる。
丁度頭の上を一話の鳥だ通過していった。
ふとイタリアがとなりで呟く。
「俺、羽が欲しいなぁ・・」
「羽?」
「そっ!背中にとびっきり綺麗な白い羽!」
寝ころびながら羽のつもりか手をばたつかせるイタリアにそうか、とだけ答えて自分も寝ころぶ。
涼しい風がが右からふわっと吹いてくる。風が汗をかいた体に気持ちがいい。
イタリアをちらりと見ると相変わらず、まだ手を動かしている。
「俺は羽はいらんな」
「えーっなんで?」
「邪魔だろ」
現実的ーっとブーイングするイタリアの頬を腕を伸ばして軽くつねる。
柔らかいイタリアの頬は汗と土で汚れていた。
「背中に羽があったらこんな風に二人で仰向けに寝ころぶこともできないぞ」
「あっ」
「それにこんな風に・・」
「ぅおわ!?」
空いていた片方の手でイタリアの細い体を抱き寄せて、後ろから抱え込む。
イタリアが驚いたように後ろにいる俺を見上げる。
「後ろから抱きしめることもできないだろ」
「・・・・別に生えてこないもん、羽なんて」
顔は見えないが声だけで頬を膨らましているのが分かった。
その成人男性がすることではない、しかし可愛らしい行動につい笑ってしまう。
そのまま黙って抱きしめていると、気持ちよくなってきたのかすやすやと寝息を立てて寝てしまった。
ゆっくりと頭をなでてやる。
なんだか自分まで眠くなってきた。
(こんなところで寝てしまっては風邪をひくな)
そんなことを頭のはじで考えながらそのまま睡魔に任せて瞼をおろした。
end
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