Un romanzo

□何故こんなにうれしいのか
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ユニコーン、ピクシー。可愛くて、少し悪戯っ子だけど優しい彼ら。
アメリカ達には幻覚呼ばわりされるけど本当にあいつらはいる。見えねぇのは心が汚れてるからなんだ。




「ヴェーイギリスには見えるんだ〜いいなー」
「うっイタリアにも見えねぇのか‥」
「うん、どこにいるの?」
「ここに飛んでる」
「むー‥やっぱり何にも見えないや」
「そっか‥」


がっくりと頭を垂れる。純粋なこいつになら見えるかもと思ったんだが‥。

残念がる俺にイタリアがすまなそうに頭をかく。


「ごめんね、イギリス」
「いや、おまえが悪いわけじゃ無ぇし。俺以外には見えなくても別に悲しいとかないしな!」


とは言ってみたもののやはり淋しい。
たまに本当にこいつらは幻覚なんじゃないかとか思ったりする。俺以外には誰にも見えなくて誰にも触れない。やはりそこに存在するという証が欲しい。


(それにイタリアに見えたらなんか共通の話題になるっつーか‥)


ちらりとイタリアを覗き見る。イタリアはさっき俺が指差したところをじーっと不思議そうに見つめている。
どうやらイタリアは他の奴らとは違い端から妖精達の存在を否定するつもりはないらしい。それがなんとも嬉しい。イタリアに妖精が見えたら良いのにと本当に思う。
見つめられているピクシーが恥ずかしそうに俯く。

じーっと見ているとイタリアが俺の視線に気がついたのか恥ずかしそうに頬をかいた。


「ねぇイギリス。ここにいるの、女の子の妖精?」
「は?あ、ああ、ピクシーの“ジェニー”だ」
「へー、俺イタリアだよ!よろしくジェニー」


イタリアが優しく微笑み、ジェニーに向かって手を差し出した。俺はイタリアのその行動に正直驚いた。
存在を否定しないどころか見えない妖精と友達になろうとしているのだ。
ジェニーが少し躊躇い、そしてゆっくりその手をとった。



「あっ」


ジェニーの手がイタリアの手に触れた瞬間、イタリアが何かに気がついたように自分の手を見つめた。イタリアの視線の先にはびっくりした様子のジェニー。イタリアは先よりしっかりジェニーを見ているようにみえた。


「今見えたかも!」
「ま、マジか!?」
「うん!手に何かが触れたと思ったら小さな羽の生えた女の子が見えた!」


わあぁ!とはしゃぐイタリア。ジェニーも嬉しそうに空をビュンビュン飛び回っている。
俺も落ち着き払っていても内心はすごく喜んでいた。



(嬉しい、嬉しい、嬉しい!)

(見えた、妖精が、俺以外の人間に!しかもイタリアにだ!!)


駄目だ、口が緩んで直らない。イタリアがいなかったら今にも踊り出してしまいそうだった。


その時の俺は何故自分がここまで嬉しいのか分かっていなかった。


end

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