Un romanzo

□いつのまにかの日常
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「ドイツー洗濯物取り込んでぇ!」


キッチンからイタリアが叫ぶ。窓の外をみると雨がぽつぽつと降り始めていた。
急いで外に干してある洗濯物を屋内に避難させる。


幸いイタリアが気付いたのが早かったおかげで濡れることはなかった。

イタリアがこちらの様子を見に顔を出す。




「ヴェーいきなり降ってきたね」
「天気予報でも何も言っていなかったな」
「駄目じゃん天気予報」



イタリアがしかめ面をしてまたキッチンに戻る。
またキッチンにとんとんとんと小気味いい音がし始める。雨の音とキッチンからの音が妙に心地よかった。

それを聞きながらふと思い出す。



「イタリア回覧板まわしたか?」
「回覧板?」
「こないだ回さなくて隣の住人に怒られただろ」
「ああ、あれね!回したよ」
「そうか、ならいいんだ」



一人で納得したように頷く。そしてまた二つの音に耳を傾ける。

キッチンのとんとんという音が終わり、次にカシャカシャと何かを掻き回す音に代わる。




「サラダか?」
「あったりー!すごいドイツ!因みにドイツの好きな味付けにしといたよ」
「ほう、ありがとうな」



ふっと笑ってイタリアの手伝いをしようとキッチンに行く。

キッチンにはサラダの他に美味しそうな匂いのするパスタが出来上がっていた。



「ふむ、なかなか上手そうだな」
「でしょー?!ブルスト入りパスタだよ!」
「それも俺好みか?」
「うんっ!」



嬉しそうに微笑むイタリアに胸が温かくなる。俺を思ってしてくれることがそこはかとなく嬉しく感じる。

顔に出ていたのか不思議そうに首を傾げるイタリアに照れ隠しでくしゃくしゃと頭を撫でてやった。


ふと窓の外に目をやると先までの雨はどこへやら驚くほどの青空になっていた。






「あっ雨やんだ!」
「本当だな」
「もーまた干し直さないとじゃん!」



ぷーっと頬を膨らますイタリアに俺も手伝ってやる、と笑った。



end

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