Un romanzo

□Liquor
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イギリスに酒を飲ませてはいけない。各国の常識。

そんなことは昔から知っている。飲んだイギリスがどうなるかも嫌というほど知っている。





「イギリス!君また飲んだのかい?!」
「あ、アメリカら〜!待ってたんらぞー」


ドアを開けると酒臭いイギリスが飛び付いて来た。
ベロンベロンに酔ったイギリスは何時もの生真面目な様子はどこへやらシャツは第三ボタンまで開けている。



「いらっしゃいアメリカ〜」
「‥悪いアメリカ」
「いや、馬鹿みたいに酔うまで飲むイギリスが悪いんだ」
「なんらと!俺は酔ってないぞ!」



呂律が回らなくなってきているイギリスがポコポコと怒る。

大分飲んだようだ。酔った様子のイタリアから連絡があった時点でだいたい予想はついていたからさして驚きはしないが。



「どれぐらい飲んだんだい?」
「イギリスはここに転がってるの全部だよ」
「かなり飲んでたな」


イタリアが指差したほうを見て愕然とした。茶色いビール瓶が五本も転がっていたのだ。

ドイツが申し訳なさそうな顔をする。彼はイギリスやイタリアと比べあまり酔っていないようだ。



「なんだってお酒弱いのにこんなに飲んだんだい?!」
「そんなに飲んでねぇじゃねぇかぁ!」
「年下のドイツ達の方がしっかりしてるじゃないか」
「なんらと!未成年のくせにぃ!」
「全く君は‥」
「ひゃっ!」



覚束ない足元で俺を殴ろうとするイギリスをひょいっと担ぐ。

背中でバタバタと騒ぐイギリスを無視してイタリア達の方へ振り返る。



「うちの眉毛が迷惑かけたね」
「ううん、楽しかったよ〜」
「まぁ気にするな」
「誰が眉毛ら、ばかぁ!」
「はいはい、じゃあまたね」



暴れるイギリスを担いだままイタリアの家を出た。

暗い夜道を二人で歩く。

最初は騒いでいたイギリスも眠くなって来たのかだんだん静かになって来た。

背中のイギリスがぽしょりぽしょりと喋る。




「なぁアメリカァ‥どこ行くんだよ?」
「ん?俺ん家でいいだろ?」
「俺ん家のが近いだろぉが」
「良いじゃないか、俺ん家嫌いじゃ無いだろ?」
「‥当たり前だろばかぁ」



何が楽しいのかイギリスがクスクスと笑い出した。ついつられて笑えてくる。馬鹿みたいに面白くなってくる。


「ふふふっ」
「ふっ、あははは!」


二人の笑い声が真っ暗な夜に溶けていった。


end

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