Un romanzo

□Jealousy
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この間の世界会議で、珍しくアメリカとフランスが話していた。話している事自体は特に珍しいわけではないが、ただ話している時の二人の距離がいつもより近かっただけで。だからといって別に妬いてたりはして‥ない、うん。フランスには好きな奴いるし。ただ話していた内容を聞いてもアメリカもフランスも頑として教えてくれないから腹がたっているだけなんだ。





「いい加減機嫌直してくれよ」
「‥別に怒ってねぇよ」
「怒ってるね、太い眉毛の間に皺寄ってるし」
「んだとてめぇ!!」


横で俺の肩に手をまわしていたアメリカを振り払う。ほーら怒ってるじゃないかと笑うアメリカのどこか飄々とした態度が気に入らない。アメリカは性懲りもなく振り払われた手を今度は腰に回して俺を引き寄せた。アメリカの息遣いが間近に聞こえてドキリとする。


「離せ馬鹿っ」
「嫉妬してるんだろ?」
「っ‥」
「図星」


反応してしまった自分が憎い。ばれてしまったのが恥ずかしいのを隠すようについ開き直ったような態度を取ってしまった。


「‥だったら何だよ」
「フランスと何を話してたか、知りたい?」


ねぇ、と耳元で低く囁くアメリカについ頷いてしまった。腹は依然として立っていたし、頷くつもりなど微塵もなかったのに。アメリカのその声にどうしても逆らう気は起きなかった。


「実はね、何も話してないんだ」
「はぁ?!」
「君が嫉妬してくれるか実験したんだよ」
「なんだそれ‥」


思いもしない解答に力が抜けてしまった。まんまに腹を立てて嫉妬していた自分に呆れると同時にとんでもない羞恥に襲われた。


「あ、イギリス顔が真っ赤なんだぞ」
「こっち見んなばかぁ!あっち向いてろ!」
「やーなこった」
「ゃ‥」


顔を隠した手を無理矢理引きはがされた。アメリカの目が合って余計に恥ずかしくなりぎゅっと目をつぶった。閉じた瞼の上にちゅっとキスをされる。


「イギリス、すごい可愛い」
「お前もぉやだ‥」
「ごめんね?でもこの実験思い付いたのはフランスなんだぞ」
「あの髭野郎‥」
「ね、こっち向いて?」


ゆっくりとアメリカを見上げる。アメリカの唇が俺の唇に優しく触れた。


「‥嫉妬してくれてありがとう、嬉しかったんだぞ」
「‥‥うるせぇばかぁ」


end

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