Un romanzo

□fairy
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「お前らは本当に可愛いよな〜あっこら舐めんなよ」
「‥‥」


空中の何かと戯れるイギリス。ファンタジー王国の彼には妖精だかユニコーンだかが見えるらしい。
昔からとはいえ、こればかりはどうしても理解できない。何もない所で誰かに話しかけていたり笑っていたりと、正直怖い。



「俺には何にも見えないんだけど‥」
「お前は不純だから見えねぇんだ」
「ならエロ大使の君にも見えるはずがないじゃないか!」
「うるせぇ馬鹿っ」



ぷいっと俺から顔を顔を逸らして見えない何かと遊ぶイギリスに俺の機嫌は急降下していく。頬杖をついてニコニコと空中に笑いかけるイギリスを見遣る。


(一緒にいるのは俺なのに)



滅多に見せないような笑顔を振り撒いているイギリス(何度もいうが何もない所に、だ)に腹が立ってくる。
なんだって存在しないものと話して確実に存在して隣に座っている俺とは話さないんだ。



「くたばれイギリス」
「はぁ!?なんだよいきなり!」
「君こそなんなんだい!?妖精だか何だか知らないけどそんなものココには存在ししてないぞ!」



ブンブンとイギリスが喋っていたあたりで手を振り回す。予想通りというか当然の如く手は中を切るだけで何かに当たるようなことはない。



「ほらやっぱり何にもな‥」
「てめぇ何しやがるっ!」


突然襟首を掴まれたかと思うと一瞬で組み伏せられイギリスが俺の上に馬乗りになった。地面にたたき付けられたせいで背中が痛い。


「痛いよっ」
「痛いじゃねぇ!てめぇは今メアリーの顔を殴ったんだぞ!」
「メアリー?」
「妖精の名前だ!」


随分憤った様子のイギリスの目が点になる。イギリスは尚もまくし立てた。


「女には手をあげるなってあれだけ‥」
「ちょ、ちょっと待って!君、さっき女の子と喋っていたのかい?」
「?ああ」


かあっと頭に血が上る。俺と一緒にいたのに女の子と喋っていたなんて許される事じゃない筈だ。
また文句を言おうとするイギリスの唇を奪う。驚いたように肩がはね、離れようとするのを無理矢理抱き抱える。


「っ‥」


歯から割り込ませた舌を噛まれた。鉄の味が口に広がる。
イギリスは相当ご立腹のようだ。が、こちらも彼に負けず劣らず腹が立っている。

馬乗りの上体だったから色々と辛い。力ずくで体を捻ってイギリスを組み敷き、形勢を逆転する。


「ってめぇどうゆうつもりだ?」
「君の大事なメアリーの前で犯して上げようと思って」
「なっ!?」


赤くなったり青くなったりするイギリスの首筋にちゅっと吸い付いてやる。


「っゃ‥」
「いいの?メアリーが見てるんじゃない?」
「ざけん‥‥あ、もしかしてお前」


何か思い付いたようなイギリスを訝しげにみつめる。


「何?」
「お前メアリーに嫉妬、してたんじゃねぇ?」
「っ!?」


悔しいけどその通りだ。俺はメアリーとかいう見えない(多分存在しない)妖精なんかに醜く嫉妬をしていた。


「〜っだったらなんだい!?」
「あ、いや‥その‥わ、悪かったな」
「へ?」
「嫉妬なんか‥させて‥」
「イギリスっ!!」

もじもじと俯きがちに言うイギリスに俺の理性はぷつりと音を立てて切れた。





その後、理性と紳士についてのうんぬんをイギリスに説教されたのち、やはり何もない空中に頭を下げさせられた。


end


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