Un romanzo

□そうはいかない
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「アメリカ、お前これから一週間エッチ禁止な」
「な、なんでだい!?」



夕食を食べながらふとイギリスが思い出したように言った言葉に思わず死刑宣告でもうけたように愕然とした。
持っていたフォークがからんと音を立てて机に落ちる。全く身に覚えがない罰に当然すぐに異論を申し立てた。



「意味分からないよ!!」
「昨日の事を胸に手をあててよーく考えてみろ」
「昨日‥?」



昨日は休日だったから朝からイギリスと二人で庭の手入れをしたりお茶飲んだりスコーンを食べたり、勿論夜にはイギリスをたっぷり堪能した。
とても平凡な、よい休日だったといえるだろう。

思い出すかぎり全くイギリスを怒らせるような事をした記憶がない。



「全然思い付かないよ」
「じゃあ知らねぇ。とにかく一週間禁止だ、いいな?」
「理由も教えないでそれはないよ!」
「だから理由は考えろ」
「わからないから言ってるんだろ!」



必死に食い下がる俺にイギリスは一瞥してため息をついた。
ため息をつきたいのはこっちだ。いきなり一週間セックス禁止だなんて酷すぎる。拷問だ。


「‥ここ」
「は?」
「キスマーク」
「ああ」



イギリスがワイシャツをずらしてあらわにした首筋には昨日つけたキスマークがくっきりと残っていた。
骨張った細い鎖骨に咲いたその赤い跡はイギリスの白い肌にとても映えて美しくみえる。我ながら中々良い位置につけたものだ。



「綺麗だね、ソレがどうかしたのかい?」
「何が『綺麗だね』だ、このメタボ!こんな俺の気付きにくいところにつけやがって!」
「あ、もしかして隠しそびれて誰かに言われた?」
「っ‥?!」



どうやら図星だったらしい。先程までの威勢はどこへやら、イギリスは耳まで真っ赤になって俯いてしまった。わかりやすい人だ。


「ふーん‥誰に言われたんだい?」
「‥‥日本」
「成る程ね、で何か言われたわけだ」
「‥『昨日は随分お楽しみだったようで』って‥」
「あーなんかすごく想像できるぞ」


ニコニコと笑う黒髪の友人を想像し苦笑する。まあ彼なら言いそうだ。日本はそういう性格だ。
しかし恥ずかしがり屋の彼にとってこの出来事はかなり堪えたらしい。いたたまれなくなったのかとうとう机に突っ伏してしまった。



「で、君は何かい?キスマークを付けたら言えってこと?」
「付けなきゃいいだろっ」
「やだ」
「なんでだよ?!」
「だってキスマークは君が俺のものって証だろ」
「はっ?!」
「いっそ見せ付けてやれば?」
「ちょ‥」



ニヤリと口角を上げて笑い、イギリスのシャツに手をかけた。プチリとボタンを外してやると目に痛いほどの白いはだが飛び込んでくる。


「っ何して‥」


イギリスの制止を無視昨日のキスマークの下に唇を持っていく。
ちゅっと音を立てて吸うとびくんとイギリスが身じろいだ。


「よしっ完璧だぞ!」
「っ何がだ馬鹿!付けんなって言った直後に‥!」
「似合ってるんだからいいじゃないか、すごくエロいぞ!」
「は?!おまっちょ‥何‥」


言葉に詰まったらしいイギリスはただでさえ赤い顔をこれでもかというほど顔を赤くし、ばかぁっとお決まりの文句をはいて俺の手を振り払った。
そんな彼の顔をぐいっとこちらに引き寄せ目を丸くするイギリスの唇を奪う。むぅっとくぐもった声が口の中に漏れる。
キスの上手いイギリスに主導権を握られないように必至でリードした。

ゆっくり唇が離れるとイギリスに上目使いでキッと睨みつけられた。



「はぐらかそうたってそうはいかねえぞ。一週間禁止だっ!」
「Oh my god!!」


end

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