Un romanzo

□水遊び
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(暑い‥)

頬を伝う汗がぽたりと書類に落ちた。
酷使して(おもにプロイセンが)壊れたクーラーはウェンウェンとおかしな音を立てるだけで全く本来の役割を果たしていない。



(ろくに仕事も片付かん‥)


仕事をするのを諦め書類を机に片付ける。
窓からの風すら生温く気持ちが悪い。閉めようと窓に手をかけると向こうから誰かが変な物体を引きずってくるのがみえた。
目を凝らしてみるとそれは自分のよく知る恋人、イタリアだった。



「おーいドイツー遊びにきたよー」


こちらに気付いてブンブンと手をふるイタリアにため息が下がる。どうせまた面倒なものをもってきたに違いない。




「俺ん家クーラー壊れちゃってさー」
「生憎俺の家も故障中だ」
「うぉぉ!お揃いじゃん!」
「そんな事より、それは‥なんだ?」



イタリアが引きずってきた物を指差す。黄色のゴムで出来ただいたい風呂サイズのそれ。


「えードイツ知らないの?ビニールプール」
「用途は知っているが初めてみるな」
「これに水入れて一緒に遊ぼうと思って!これ、大きくて大変だったんだー」
「というかそれ、空気抜いて持ってくれば楽だったんじゃないか?」
「あっ」



えへへーと照れたように笑うイタリアに呆れてため息をつく。
しかし確かにこの暑さの中プールは魅力的だ。


「よし、じゃあ水を入れるか」
「わーいっ」
「あっこらまだ脱ぐな!」
「ヴェーだって暑いんだもん」


ポイポイと投げ出された服を回収して丁寧に畳む。なんとなく無意識にそれをやってのける自分が怖い。


「ドイツ早くーっ」
「分かった分かったっと!」
「ヴェッ!?ちょ冷たっ!ひどいよドイツ!」
「お前が早くしてくれと頼んだんだろ」
「ドイツのS!ドS!ドイツのドはドSのド!」
「ほぉ」


プーッと頬を膨らますイタリアにまた水をかけてやる。
ごめんごめん!と謝るイタリアに俺が油断した隙に今度はこっちが水をかけられた。


「なっ!?」
「仕返し〜」


せっかくオールバックにセットした髪がぐちゃぐちゃになってしまった。しかし汗ばんだ体には冷えた水はとても気持ちがよかった。
ビショビショになった黒いタンクトップを脱ぎ捨てる。と、すぐにまたイタリアに水をかけられる。水は気持ちが良いがやられっぱなしは性に会わない。



「えへへー楽しーっ」
「そうだな、楽しいな」
「あ、れ?ド、ドイツそんな厳つい水鉄砲どっから‥」
「兄貴のだ」
「やーっ!痛い痛い!ずるいよー!」
「仕返し、だ」
「くっそー!くらえっホースビームッ!」
「こ、こらっ!そんな水出したら勿体ないだろ!」




一通り遊び、冷たかった水も温水になり体中が汗だか水だかでビショビショになった。


「楽しかったねー」

満足げにプールの栓を抜いてているイタリアをみてつい顔に血が上った。
遊んでいる最中は夢中すぎて気がつかなったが全裸で水に濡れて、暑さに頬を上気させるイタリアはかなり煽情的だ。ごくりと喉を鳴らす。



「ドイツ?」
「イタリアッさっさと中にはいるぞ!」
「えっえっ?なんでなんで?」
「なんでもだ!」


(「外でやるわけにはいかないからだ」、なんて言える訳無い!)

結局、玄関に入ってすぐに俺の理性が切れてろくに体も拭かないままイタリアを押し倒した。


翌日二人共風邪をひき、オーストラリアと日本に看病してもらうはめになったことはいうまでもない。



end

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