Una novela

□眼鏡
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いつものようにアポなしでアメリカが遊びに来て、いつものように文句を言いながら家に上げて紅茶を出してやった。
そしていつものようにどうでもいいようなことをダラダラと話していると、ふと思い付いた。




「お前っていつから眼鏡かけてたっけ?」
「‥随分いきなりだね、えーと‥」


突然の質問にうーんと唸るアメリカ。確か独立の時はかけてなかったな、うん。
アメリカの目からから眼鏡を外して自分でかけてみる。



「ふーん伊達じゃねーんだ」
「あっ、ちょっと返してくれよ」



アメリカの眼鏡にはしっかり度が入っていて目がいい俺は少しクラッとした。最近はファッションで眼鏡をかけるらしいからアメリカのもそれかと思っていた。



「どーせ夜中までゲームとかして視力が下がったんだろ」
「違うよ、失礼な!」



ポコポコと怒るアメリカの顔を眼鏡をずらして改めてみてみる。何故だかいつもより幼い印象を受ける。
小さな頃のアメリカはそれは可愛かった。舌足らずな言葉遣いも、小さな手も全部が全部かわいらしくて。

なんとなく懐かしくなってじーっと見てたら目があって嫌な顔をされた。



「な、なんだよ?」
「どーせ『なんか眼鏡がないと小さい頃のアメリカの面影がー』とか思ってるんだろ?」
「うっ‥」
「だから昼に眼鏡外すのはいやなんだ」
「え?」



ぷいっと横を向いてしまったアメリカの顔を覗き込む。どうやらすねているらしい。


「アメリカ‥」
「俺が眼鏡外すのは君とエッチするときだけって決めてたのに」
「なっ!?」
「・・そしたら少しは昔の俺の事忘れてくれると思ったから」
「っ‥」


確かに自分は小さな頃のアメリカに依存している節がある。でもだからって今のアメリカより昔のアメリカが好きなんてことは全然ない。



「俺は‥別にそーゆー意味で‥」
「別にいいよ、怒ってるわけじゃないし。君の眼鏡姿が可愛いのに免じて許してあげるよ」
「っそ、そんな事言われたって別に嬉しくなんかないんだからな、ばかぁ!」



にやっと笑ったアメリカをぽかぽか殴る。が、全くきいていないようだ。腹が立つ。

真っ赤になった顔から眼鏡を外そうとするとその手はアメリカに阻まれた。なんだ、と思い睨み付けるとアメリカのいやにさわやかな笑顔にぶち当たった。
嫌な予感がする。


「ちょ、アメリ・・」
「このまま良いよね?」
「は!?な、何が・・・」
「頂きます」
「あ、ゃん・・メリカのばかぁぁ!」




次の日は、酷使した腰と慣れない眼鏡をかけすぎた頭ががんがんと痛かった。


end

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