Una novela
□happy birthday
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「あー‥どーしよー‥」
ふかふかのソファーに深くもたれ掛かる。手に持った携帯をもう一度開けてみるが何の連絡も届いていない。
「なんなんだよ、もー‥」
今日は俺の誕生日で、5時からは大きなパーティーがあって日本やイタリア達も来てくれて真っ黄色の特大ケーキだってもう準備してある。
今日は楽しいこと尽くしのはずなのにどうして俺がこんなにブルーなのかといえば‥
「イギリス‥」
そう、ツンデレで照れ屋で眉毛な俺のかわいい恋人。勿論彼もパーティーに誘った。
「せめて最後のほうだけでも」と頼む俺にやっぱり俺の独立を引きずってる彼は「まだわかんねぇ」と返事をした。
「当日考える」という答えで引き下がった俺は昨日からずっと彼からの連絡を待っているのだ。だというのにその彼から全く連絡が無い。
電話しても出ないしメールしても返事は返ってこない。きまじめな彼は電話はいつもこっちが驚くぐらいすぐでるしメールも10分以内に返してくる。
その彼からなんの音信もないなんておかしい。
体調がそうとう悪くて寝込んでるのかはたまた何かあったのか。
「どうしたんだろ‥?」
いつもならイギリスのもとにすっ飛んでいくところだ。しかし今日は自分の誕生日パーティーがある。
主催が留守なんて駄目に決まってるし上司からも絶対出席を命じられていた。
なにより、もしかしたら彼がこっちに向かっているかもしれない。入れ違いなんて真っ平だ。
しかしもしイギリスが寝込んでいたら‥?
「あーっもうどうすりゃいいって言うんだい?!」
『コンコン』
「へ?」
ドアを叩く音に驚いて立ち上がる。もしかしてこのタイミング‥。走って行ってドアのぶに手をかけた。
「イギリス?!」
「ぅあ!な、何だよ?!」
勢いよくドアをあけるとそこには普段より少しめかし込んだイギリスがいた。
いつもはツンツンと跳ねている髪を綺麗に撫で付け、上品な紺のスーツを纏っている。
いろいろと言いたいことはあったが何より彼が来てくれたことが嬉しかった。
「来てくれたんだ‥」
「やっぱ誕生日ぐらい‥来てやってもいいかなって、思って‥その‥恋人、だし‥」
「っ〜〜ありがとう!嬉しいんだぞ!」
「わっ」
自ら口にだした恋人という単語に赤くなるイギリスが可愛くて、ぎゅうっとその華奢な身体を掻き抱いた。
腕の中の彼からはほんのに甘い薔薇の香りする。
「電話にもメールにも返事がないからすごく心配したんだぞ」
「まじ?気付かなかった‥」
「一体何してたんだい?」
「あ、その、あれだ‥」
変に口ごもり、何やらごそごそとしだしたイギリスを離してやる。ポケットをあさり、ラッピングの施してある小さな袋を取り出した。
「お前のプレゼントが全然決まらなくて‥2週間前くらいから考えてたんだけど‥」
「これ、くれるのかい?」
「‥ああ。言っておくが安物だからな!変に期待とかすんなよ!」
「心配しないでよ、別に期待してないから」
「どういう意味だよばかぁ!」
しゅる、と音をたてリボンを外す。袋の中には革の手袋が入っていた。
手に取ってみると上質なものなことがわかる。裏を見てみると品質のよさと値段の高さで有名なところのものだった。
「お前、いつも手袋してるし。それにお前の少し年期入ってるだろ?」
「ありがとうイギリス!」
「べ、別にお前のためじゃないぞ!ただ俺がお前に渡したかったからで」
「それはそれで嬉しいんだぞ!」
にっこり笑ってみせるとイギリスは真っ赤になって俯いてしまった。本当にすごく嬉しい。
イギリスが最初から誕生日パーティーに出席してくれてしかも俺のために2週間もプレゼントを悩んでくれた。こんな幸せな事ってない!
そのまま笑顔出欠大サービスしているとイギリスが思い出したように俯いていた顔を上げた。
「ア、アメリカ!その‥誕生日おめでと、な」
「っ君‥独立のこと‥」
「俺、色々考えたんだけどあの時俺は独立されて弟としてのお前を失って‥やっぱそれは辛い思い出で‥」
「イギリス‥」
「でも代わりに‥こ、恋人としてのお前を手に、入れられて‥それで」
いきなり腕を首に回されて頭を引き寄せられた。唇が触れ合う。優しい、甘いキス。
唇を離し視線が交差する。そしてイギリスが滅多にみせないへにゃりとした笑顔で微笑んだ。
「俺は今のお前のほうが好きだから」
「っ‥君って恥ずかしい‥」
「なっ?!ひ、人がせっかく素直に‥」
「イギリス」
「な、なんだよ」
「ありがとう」
目をパチクリさせて次いで恥ずかしそうに笑うイギリスは本当に世界で1番可愛かった。
end
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