Una novela
□Mit viel Anstrengung
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一週間前から決めていた。ずっと心に秘めてたこの想いをあの子に伝えようと。
きっとフラれる。フラれたからって踏ん切りがつくわけでもない。
でも少しでも君にこの気持ちを知ってもらいたくて。
「俺イタリアちゃんが好きだ」
「俺も好きだよ?」
即答してから小首を傾げるイタリアちゃんに困ったように笑って見せる。
違う、違うんだ。
「イタリアちゃんの好きと、俺の好きは違う」
「?どーゆー‥」
彼の細い手首を掴んで引き寄せる。わっと声を上げて倒れ込んでくるイタリアちゃんをぎゅっと抱きしめた。
腕の中のイタリアちゃんの戸惑いがわかる。
イタリアちゃんの言う好きは“友愛”。
優しくて美しく慈しみ溢れる残酷な愛。誰にも平等に与えられ、多くを望めば取り上げられる。
俺の言う好きとは真逆。汚くて醜くて辛くて、こんな気持ちを綺麗な彼に押し付けるのは憚られたけど。
頭の中に響く“愛してる”、という声はどうしたって無視できなくて。
「プロイセ‥」
「愛してるんだ」
「え」
「イタリアちゃんの全てが欲しい」
「っ‥」
「とじこめて俺しか見えないようにして他の奴らになんか見せないようにしたいぐらい‥好き。‥意味、わかる?」
肩を掴んで離す。
俯いている顔を覗くと林檎のように真っ赤になって目には涙が浮かんでいた。初でかわいい彼をクスリと笑って頭を撫でる。
「いいよ、別に。返事を期待してたわけじゃネェし。ゆっくりでい‥」
「‥‥も、‥き」
「へっ?」
「俺も好き、だよ‥」
「‥‥」
「プロイセン?」
「イタリアちゃん!」
「っん‥」
先より赤い彼の唇にキスをした。イタリアちゃんの肩がビクンと跳ねたのがわかった。
唇を押し当てたイタリアちゃんの唇はなんとなく甘い味がする。イタリアちゃんとのファーストキスは順序だててしっかり段階を踏んでからのつもりだった。
でもとぎれとぎれにでも一生懸命好きといってくれた彼がしょうがなく愛おしくて。
ゆっくりと唇を離す。涙目のイタリアちゃんを今度は優しくて抱きしめる。
「さっきの‥マジ?」
「‥うん」
「本当に?」
「本当」
「本当の本当?」
「本当の本当、くどいよプー」
イタリアちゃんの紅茶色の瞳を見つめる。その瞳に俺が映ってるのがなんだかひたすら嬉しくて。
「やばい俺死ぬかも」
「そんなの駄目だよ、せっかく‥」
「恋人同士になれたのに」
end
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