Una novela
□貴方がいないと
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「おいしく、ないなぁ‥」
持っていたフォークをポイッとほうり出す。フォークはカランと音を立てて机に落ちた。
椅子にもたれて溜息を零す。
机の上のお皿からは食欲を誘うような良いにおいがしているというのに全く食べる気が起きない。
(パスタも美味しくないなんて‥)
むーっと机の彩り鮮やかなパスタと睨めっこをする。
シエスタも気持ち良くないし、サッカーもつまんないしその上パスタまで美味しくない。
「これは重傷だぁ‥」
体調不良の原因は分かってる。
ドイツ不足。
休日は見事すれ違い、会議で会ってもバタバタして話せない、なんやかんやでもう2ヶ月もまともに会っていない。
勿論国という立場上、忙しいのはお互い様なわけで会えない事は仕方ないと理解している。理解はしているが納得はいかない。
(会いたい‥。会ってハグして、キスして、一緒に御飯食べて、
一緒にお風呂入って‥抱かれたいなー、なんて)
「ヴェー‥俺女の子みたい」
自分の考えた事につい恥ずかしくなる。
(でも本当に会いたい‥)
ドイツの事を考えたせいか余計に淋しくなって来た。フォークでパスタをいじりながらポソリと呟く。
「ドイツ、早く来ないと俺淋しくて死んじゃうよ‥?」
「それは困るな」
「えっ!?」
ばっと振り返るとドアに夢にまでみたドイツが立っていた。
気がつくと俺はドイツに走って抱きついていた。久しぶりの暖かいムキムキ。胸がほっとして息が吸える。
「ドイツ‥っ」
「すまんな、淋しい思いをさせて」
「ううんっ!もう全然良い!ドイツが居てくれたら幸せ!」
「っイタリア!」
「わっ」
抱きしめられドイツが顔を俺の首筋に埋める。暖かい、ドイツの優しい体温が直に伝わってくる。幸せ‥。
そのまま長い時間抱き合っていると不意に首を舐められた。
「ひゃっな、何?」
「イタリア‥悪いがもう我慢できそうにない」
「え?ちょドイ‥わっ!」
足をすくわれ抱えられる。所謂お姫様抱っこだ。
ドイツは片手で寝室のドアを開けて俺をベッドに放り投げる。ぼすっと背中からベッドに倒れ込む。
ギシリと音をたててドイツが俺に覆いかぶさった。
「イタリア‥いいか?」
俺はOKの返事の代わりにドイツの首に手をまわしてニッコリ笑ってキスをした。
end
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