Una novela

□可愛がってやるから
1ページ/2ページ



パタパタと軽い足音が近づいてくる。読み掛けの本に栞を挟み机におき近くに置いてあるコーヒーを避けとおく。

バーンと大きな音がして扉が開いた。



「イタリア、家の中で走るなと何度言ったら‥」
「ドイツー見て見てーっ」
「イ、イタリアーッ!!?なんだその格好はぁ!?」
「えっ何ごめんなさいっ!?謝るから怒らないでぇー!」



何故怒鳴られたのか分かっていないイタリアがドイツの剣幕に圧され急いで大声で謝る。

ドイツは痛む頭を押さえながらため息を付いた。



「イタリアその格好はなんのつもりだ?」
「これ?えへへー可愛いでしょ!コレ、ドイツん家のワンちゃんのだよ。因みに耳は日本のなんだー」



はにかんで笑うイタリアの格好は赤い首輪にリードがついており頭には犬の耳らしきものまで付いている。

可愛い、確かにものすごく可愛いのだが‥


(あらぬ妄想をしてしまうな‥)


イタリアは一応恋人なわけでドイツとしてもそのような格好を見せられると、なんというか色々と障りがある、主に下半身に。


「どうどう似合うー?」
「‥ああ可愛いぞ」
「ヴェー嬉しいっ!」
「っ‥」


ぎゅっとハグされつい息が詰まる。イタリアの首に付いている鈴がチリンと涼しげな音を零す。


「くぅん‥俺犬みたい?」
「なっ!?あ、ああそうだな‥」



上目使いで見上げられつい鼓動が早くなる。対象的にイタリアは嬉しそうに微笑んだ。



「えへへ俺ドイツの犬になりたかったんだよね」
「はぁ!!?な、何をいきなりっ」
「ドイツはいっつもワンちゃん大事にしてるしさ、俺も犬になればドイツにいっぱい撫で撫でしてもらえるかなって思って」
「っ」



照れたように頬をかくイタリアを掻き抱く。



(こんな可愛いやつこの世に二人といないっ)


額にキスを落とし手近なソファーに押し倒す。腕の中のイタリアが羞恥で熱くなったのが分かった。



「ちょっドイツ!?」
「心配するな、誰よりも可愛がってやるから」
「えっドイ‥やっ、あぁん」



その後イタリアが二度と犬の真似等しなくなったのはいうまでもない。


end

NEXT→あとがき
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ