Una novela
□俺にも
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(ああ俺何やってんだろ)
緑色の軍服のジャケットに顔を埋めたままため息をついた。
馬鹿な事をしているという自覚はある、がどうしてかソレから顔が離れない。
イギリスの物であるそれは微かに甘い紅茶の匂いを香せている。
遠くから水の流れる音がする。イギリスがシャワーを浴びているのだ。
(イギリスがいけない、ジャケットなんて置いていくからっ)
自分でも呆れるような責任転嫁に一人で苦笑する。
別に最初はこんなことになるとは思っても見なかった。
ただなんとなく興味本位で置いてあるジャケットの匂いを嗅いでみただけ。
そしたら紅茶とイギリスの匂いがして‥離れるのが名残惜しくて結局今に至るというわけだ。
どう考えてもHeroらしからぬ行動に頭が痛くなる。
(何てったってお年頃だからなぁ)
年のせいにして考えるのを諦める。イギリスがシャワーから出てくる前に離れればいいだけだ。
(イギリスの匂いは薔薇の香りと甘い紅茶に焦げたスコーンだろ、後これは‥)
体に悪そうな強い化学調味料の匂いと肉の香り。何となく身近な気がするこの匂いは――
「ハンバーガー?」
気付いてバッと顔を離す。イギリスの服から嗅いだ匂いは紛れも無くマックのハンバーガー。
イギリスは軍服を来てマックなど食べないはず。ではこの匂いはどこで‥?
「‥俺?」
思い付いてボッと頬を赤らめる。
「いやいやいやいや!イギリスだって軍服でマックぐらい食べるだろうし!!
別に俺からもそんなうつるほどマックの匂いしてないし!だいたいそんな匂いがうつるとか!」
「何やってんだ?俺のジャケットもって」
「いっいぎり!?」
いつの間にかシャワーから出てきているイギリスの声に驚いて振り向く。
手には彼のジャンバーを持ったままだ。
「あ、さては服の匂いか・・」
「わーわーわー!!//何言ってるんだい!?俺がそんなことするわけ無いだろう!?」
「ふーん・・」
にやにやとこっちを見るイギリスに耐えかねて俺はイギリスに無理矢理キスをした。
抵抗するイギリスにの舌を弱く噛むと驚いたように肩が跳ねる。
「・・っ君ばっかりずるいから俺にも君の匂い付けてよ」
「あ、やっぱり匂いかいでたんだ」
「っ五月蝿い!」
照れ隠しにおもいっきりキスをしてあげた。
end
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