Una novela
□さぁ遊ぼう!
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「ねぇドイツ」
「何だ?」
本から目を上げてこっちをちらりと見遣るドイツ。
お昼を食べてから30分、ドイツはさっきからずっと本を読んでる。折角の休日のお昼に恋人である俺をほっぽらかして、だ。
何も言わない俺に不思議そうな顔をするドイツに本ばっかり見てないで俺に構ってよ、とは言えずぶすーっと頬を膨らましてみせる。
「用がないのに呼んだのか?」
「‥むー‥何でもない」
そうかと呟きドイツはまた本に戻る。
もーなんで気付いてくれないかのな?こんなに意思表示してるのにさ。
窓から見えるきれいな空すら恨めしい。こんな日はサッカーしたら気持ちいいのに・・
だんだん腹が立ってきて俺はドイツの首に後ろから抱き着いた。
ドイツが首だけ振り向きため息をつく。
「さっきからなんだ?用があるなら言え」
「‥‥淋しい、であります‥」
「は?」
呆気にとられたような顔のドイツの顔になんだか情けなくなってきた。
俺ばっかり好きみたい・・
「〜〜っやっぱりなんでもない!」
「おいちょっイタリア!」
走り去ろうとした俺の腕をドイツが掴む。腕を引かれてドイツの胸の中になだれ込んだ。
そしてそのまま抱きしめられる。
吃驚して声が出ない俺の耳元でドイツが低い声で囁いた。
鼓膜に振動が伝わってくすぐったい。
「すまん、気づかなくて。つい夢中になっていた」
「っ・・」
「許して、くれるか・・?」
「べ、別に怒ってないよっ!」
「そうか、」
ドイツの腕から解放されて息を肺いっぱいに吸う。
恥ずかしかった・・。もぉドイツってばときどき無意識にすごいことするから困る。
でもこれでやっとドイツと遊べる!嬉しくて口元に笑みが浮かんでくる。
「さっ本なんて読まないで外行こう!」
なんたって青い空が俺達をずっと待ってるんだから!!
end
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