Una novela

□幸せにしろよ
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「結婚、してください」
「はぁ?」

目の前には大きな赤い薔薇の花束。甘い良い匂いがする。


(前にもあったなこんなこと‥)

相手はフランスだったか、なんて現実逃避気味に考える。まぁ渡されたのはカレンダーだったけど。
花束の間からアメリカの真剣な瞳がのぞく。少し緊張の色が伺える。

(これ‥マジで言ってくれてたらすげぇ嬉しい、かも)


フランスに言われた時にはなかった恥ずかしさと嬉しさが入り交じる。
ふと向こうをみると道行く人々がこちらを物珍しげに眺めていた。
そりゃそうだ。朝っぱらから男が男に薔薇の花束をプレゼントしている光景なんてなかなか見れるもんじゃない。


「と、とりあえず中に入れよ」
「うん」

アメリカを家に入れ紅茶をだしてやる。珍しく文句をいわない。そんな事には気が回らないのだ。気まずい空気が流れる。

俺はバクバクとうるさい心臓を落ち着けようと紅茶に口を付けた。


(結婚って結婚だよな‥?)

もしかしたら俺の聞き間違いかもしれない、

「で、なんだって?」
「俺と結婚してください」


聞き間違いではなかった。
じゃあ・・いやいやでもなぁ・・


「・・おまえんとこ・・経済やばいのか?」
「?良くはないけどいたって普通だぞ」


だったら何だという風に首を傾げるアメリカに愛おしさと羞恥を覚える。

聞き間違えでもなくて経済のためでもない。ただ真剣に俺と・・一緒になりたい、のか。



「っ・・」
「えっちょイギリス!?何泣いて・・」



こみ上げるうれしさが涙になって零れる。言葉にできないほど嬉しい。
俺は衝動のままにアメリカに抱きついた。

しばらくそのままでいると頭にぼすっと手か乗っかる。アメリカの大きな白い手。
ちょっと高いアメリカの顔を見上げるとアメリカの笑顔にぶち当たる。



「で、返事は?」
「っそんなんわかってるだろ!?」
「分かんないよ、ねぇ返事は?」


先ほどまでの不安な表情は消え、によによと腹の立つ笑みを浮かべるアメリカ。


「っ・・幸せに、しろよばかぁ!!」
「もちろん!何たって君だけのヒーローだからね!」


そういって俺の、俺だけのヒーローは優しく俺の唇にキスを落とした。

end
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