novel

□君の歌
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「〜、〜〜♪」

(ん‥この歌は‥‥)


耳障りの良い優しい歌。

ゆっくり目を開けるとベッドの横でイタリアが体を起こして楽しそうに歌っている。
イタリアの白い体に日が反射して眩しい。静かに目をつむり耳を傾ける。


(‥上手いな‥)


賛美歌のような美しい歌。

一人の少年が愛する召使の少女と別れ離れになり帰ってこない、というような歌詞、少女視点のその歌はあまりに悲しげだ。
もう一度イタリアの顔を見上げると彼の表情が少し寂しそうなことに気付く。
まるで愛する少年においていかれた歌の少女のようだ。


(自作、だろうか‥?)


「〜〜、♪‥ふーっ‥」


歌が終わり、イタリアが満足気に笑う。
先程までの悲しげな表情は微塵も見られない。



「何と言う名の歌だ?」
「ヴェッ?!ド、ドイツ起きてたの?」


言ってよぉと眉をハの字にして訴えるイタリアにスマンと謝る。


「この歌は自作だよ、前にドイツにも作ってあげたでしょ」
「ああ、アレか」


出会ってまもない頃、捕虜であったイタリアが歌っていたやつだ。
あまり覚えていないが微妙な歌だったように思う。


「悪い、あんまり覚えてないんだ」
「いいよ、俺も歌詞までは覚えてないし〜あっじゃあ今度またドイツのために新しい歌作るよ!」
「それは‥楽しみだな」
「俺からドイツへの熱烈ラブソング〜」


へらへらと笑うイタリアの額をこつんと小突く。
まあ嬉しくはあるあるのだがさらりと言われると照れてしまう。
楽しそうなイタリア頬にキスを贈り立ち上がる。イタリアが少し赤いのが可愛い。伸びをして笑いかける。



「腹が減ったな、朝飯でも作るか」
「あっ俺パスタがいいー」


イタリアの歌を聴いた後だからか妙に機嫌が良かったので今日はイタリアの要望どうりのパスタを作ることにした。


end

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