novel

□誘って欲しい
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「あっ・・」

甘い声が湿った部屋に響く。
思った以上に気持ちよさげな声がでて赤面した。


「イギリス・・」
「やっあ、めりかぁ・・」


アメリカの大きい白い手が無遠慮にブラウスの中の突起を弄ぶ。
ひっぱたりこねたりと強弱を付けながらの愛撫に俺は夢中になった。

「あっあ、ん・・ひゃっ」

声を出さないように口を閉じてもどうしても漏れてしまう。
自分の熱を持った声が恥ずかしくてぎゅっと目を閉じた。


「ふっ・・んぁやだぁ」
「なにが嫌何だい?ここ、こんなにしてさ」


ズボン越しに立ち上がったそれをなでられビクンと背中をのけぞらせる。
アメリカが喉でクックッと笑ったのが分かった。アメリカの手がベルトに伸びる。
これから訪れるであろう甘美な夜への期待にごくりと唾を飲む。


「あっ、今思ったんだけどさ」
「は?」

急に聞こえた場にそぐわない気の抜けた声。
甘い言葉を待っていた俺はアメリカのそれにひどく腹がたった。
覆い被さっているアメリカを気怠げに睨む。本当にムードもへったくれも無い奴だ。


「君っていつも最中に『やだぁ』とか『やめてぇ』とか言うじゃないか?」
「ま、まあな」
「でもそんなこと良いながら君っていつも何気なく乗り気だろ?」
「な!そ、そんなことっ!」
「本気で嫌だったら俺を蹴り倒して走って逃げるだろ?」


違うかい?と俺を見下ろすアメリカ。なんなんだ一体!?
そりゃあ俺も乗り気じゃないと言ったらまぁ嘘になる。
別にしたいとか言う訳では無いけど好きな奴に求められるのはやっぱりその、嬉しい。

だとしても何故今この状況で言う!?
こうして喋っている間も俺の体は先ほど与えられた愛撫のせいでうずうずと燻っていた。
早くアメリカに触って貰いたい・・その欲求は俺の高いプライドさえも頭を垂れさせた。


「〜っだったらなんだよ!?」
「うん、だからときどきぐらい君から誘ってくれないかなって思って」
「んな!?」
「いいだろ?いつも俺からばっかりだし」
「い、嫌に決まってんだろ、ばか!」
「君から誘ってくれるまで俺は君に触らないよ?」
「っ」
「辛いだろ?体」


にやついた奴の顔を殴りたくなる。
こんなアホなこといつもだったら無視する。が、今の俺にはさっき言ったように余裕がない。
うずく体はアメリカに焦がれているのだ。


「・・っちアメリカの馬鹿!」
「馬鹿っで結構、ね?」

にっこりと微笑まれた俺は意を決したようにアメリカの首に手を回し口を耳に近づけた。

「アメリカ、俺のこと・・抱いて・・?」

耳もとでアメリカのごくりという喉の音が聞こえて、俺の世界は暗転した。


end

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