novel

□コーヒー
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イギリスは紅茶好きだ。

というか基本紅茶しか飲まない。
俺がいくらすすめてもコーヒーを一口も飲もうとはしなかった(おいしいのにな‥)

でも紅茶は家にそれこそ何十種類と揃えてある。
そんなに紅茶ばかり飲んでいて飽きないのだろうか?



「君さ、たまにはコーヒーとか飲んでみれば?」
「はっ嫌だね、あんな黒い飲みもん。どーみても体に悪いだろうが!」


間髪入れず前と同じような返事が返って来た。
体に悪いって君はどこのお母さんだい?



「毎日飲んでる俺はこんなに元気じゃないか」
「お前は馬鹿だからだろ。だいたいコーヒーは苦いじゃねーか」
「イギリスの作ったスコーンよりは苦くないよ」
「んだと!このメタボ!」
「君は沸点が低いなぁ・・」



やれやれ、と呆れたポーズをとってみせる。
喧嘩がしたいわけでは無いけど怒ってる彼を見るのは正直楽しい。
まぁやりすぎないように注意はしてるんだけど・・


「怒りっぽいと早死にするぞ!金欠のおっさん!」


無理だった。イギリスの顔が怒りで真っ赤になる。


「お前が死ね!!アメリカの馬鹿!」


イギリスは自分の寝室にかけこみ、バンッっと音を立ててドアをしめた。


(少しやりすぎた・・)


イギリスがおっさんと呼ぶとものすごく怒ることはしっていた。
あまつさえ金欠とまで言ってしまったのだ。


(怒ってるイギリスが可愛すぎるから)


しばらく口をきいて貰えないかも知れないと考えると憂鬱になる。
頭の悪い自分を殴りたくなった。



「あー俺って馬鹿・・・・ん?」


ふとキッチンに目をやるとイギリスの紅茶の缶の隣に茶色いビンが置いてあるのに気づいた。

(えっあれって・・)


見慣れたそのビンを手にとって見る。

“coffe”

そう書かれたそのビンはまだ未開封のようだ。

(イギリスはコーヒー飲まないって・・)

コーヒーの銘柄は自分のお気に入りのもの。


「まさか・・」

自分のために・・?

確かに俺はイギリスが紅茶を出すたびに文句を言ってたしコーヒーの方がうまいだの言った。
そのたびにイギリスはぶちぎれてたけど・・・


「わざわざブランドまで調べてくれたんだ」


嬉しい、ものすごく嬉しい。
口元のにやけが押さえられない。いまにも嬉しくて叫び出しそうだ。



寝室のドアを思いっきり開ける。
布団に顔を埋めていたイギリスは驚いて飛び上がった。


「なっ、なんの・・」
「イギリスっ!!大好きだっ」
「うぎゃっ!」

勢いよくイギリスを抱きしめる。

腕の中の可愛い彼からはほのかに甘い紅茶の匂いとほんの少しコーヒーの香りがした。

end

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