novel
□心臓に悪い!
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夜中に目が覚めた。
カーテンの隙間から漏れる、眩しい月明かりに目を細める。
ふと体に目をやると朱い跡が転々と残っていた。
横では気持ち良さげに寝息を立ててアメリカが寝ている。
(気絶するまでヤりやがって‥)
幸せそうによだれを垂らすアメリカの頬を体を起こし、つつく。
アメリカは「むにゃ‥」と眉を潜めるが起きそうにない。
楽しくなって瞼も引っ張ってみる。これも居心地悪そうな顔をするだけだった。
(それにしても‥かっこいい‥な)
寝ているアメリカはいつにもましてかっこよくみえる。
手を少し汗をかいているアメリカの頬に添えた。
(いや、いつもかっこいいけど‥なんか眼鏡外してると余計‥)
(‥何してんだ俺‥)
じーっとアメリカを見ている自分が突然恥ずかしくなった。
添えていた手を顔から離そうとするといきなり腕を掴まれ抱きかかえられる。
「ちょっおい離せアメリカ!」
腕の中で騒いでみるがアメリカは微塵も起きそうにない。
抜けだそうにも腕の力はかなり強い。
「ん‥‥」
「‥っ!//」
アメリカの息遣いがあまりに近くて赤くなる。
だいたい今更だが俺達は素っ裸だ。服を纏っていない状態でこの密着は恥ずかしすぎて死にそうだ。
「離れろって!」
「‥イ、ギリス‥」
「あっ起きたか?」
腕の中で暴れているとアメリカが眠たそうに俺の名前を呟いた。ゆっくり瞼が上がっていく。
俺としては一秒でも早くこの死にそうな状態から抜け出たかった。
「ほら離せ!お前が寝ぼ‥」
「愛してる」
脈絡無く耳元で囁かれた愛の言葉。体中が熱くなったんが分かった。
ただでさえ冷えているアメリカの体が余計に冷たく感じる。
「えぇ?!は?!ちょ何言っ!//」
「‥‥‥」
「ちょっとアメリカ?寝てんのか?!」
「・・」
「嘘だろ・・」
返事のないアメリカと悲しいくらい動揺している自分にため息をつく。
(寝ぼけてとか・・心臓に悪っ//てかこいつが起きるまでこのままかよ・・)
ばくばくと五月蠅い動悸は一晩中鳴りやみそうになかった。
end
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