novel

□空の色
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(綺麗だな‥)


窓から見える空は俺の家では滅多に見られないような快晴だった。
俺は晴れた空の色が好きだ。
雨が嫌いってのも理由だが何より気持ちがいい。
どこまでも続くような綺麗なスカイブルー。
どんなに眺めていても飽きることがない。


そこでふと、ひっかかった。
この色、どこかで―――




「ちょっとイギリス!!」
「ふぇっ?」


空をぼーっと眺めていた俺をアメリカがつねった。


「ほぉい、こら!なにすんら!ふぁなせ!」
(おい、こら!何すんだ!離せ!)

「ハハハ何言ってんだか全然分かんないぞ☆」


頬を抓っているアメリカの手を払う。抓られた頬がジンジンと痛んだ。


「ひどいじゃないか、俺が話してるのにぼーっとするなんて」
「‥るせーな、そんな時もあんだよ」


可愛いげのない返事を返しプイッとそっぽを向いた。飲みかけの紅茶に口を付ける。

先程の窓が目に入り、空の色の事を思い出す。



(あの色、なんだったかな‥思い出せねぇ‥)


歳のせいかな‥と頭を捻ると後ろから目隠しされた。
冷えた革手袋の感触が少し気持ちいい。目隠しの犯人はどう考えてもアメリカしかいない。


(今考え事してるっつーのに‥)

欝陶しい‥とため息をつく。
紅茶の入ったカップを机におき尋ねた。


「なんだよ、アメリカ」
「‥折角の休みなのにイギリスが空ばっかり見てるのが悪いんだぞ‥」
「っ‥‥」


後ろでアメリカが照れて俯いたのがわかった。
子供っぽい言動につい口元が綻ぶ。同時に恥ずかしさと嬉しさが込み上げて来た。

空ばっかりを見ているイギリスに対するアメリカの可愛い嫉妬。


(‥愛されてんなぁ、俺)

実感し頬が熱くなる。
革手袋から自分の高くなった体温がばれそうで急いで無理矢理アメリカの手を目の上から退けた。

アメリカの腕が俺の首に回り後ろから抱きしめられている形になる。アメリカが顔を覗き込むようにして俺に囁く。


「‥俺だけ見ててよ」
「言われなくてもお前しか見えてねぇよ‥‥‥あ、」


目が会った瞬間思い出した、空の青。
綺麗な綺麗なスカイブルー。


「お前の瞳‥」
「‥何?」

青くどこまでもどこまでも続きそうな青。大好きなその色。
引き込まれそうになる。

大好きなお前の瞳の色。



「空の色だ」


end


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