novel

□悶々と
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朝、目が覚めると隣にロマーノではなくイタリアがいた。
最初はびっくりしたものの昨日イタリアが泊まりに来ていたことを思いだし、また布団に潜る。

目の前にはイタリアの顔。端正でまだ幼さののこるその顔をまじまじと観察した。


(綺麗‥)

紅茶色の髪が窓から差し込む光を浴びてきらきらと光っている。
特徴的なくるんとした髪を優しくなでてやるとイタリアは「んっ‥」と喉を鳴らしゴロンと寝返りをうつ。その様子に笑みが零れる。


(可愛ええなぁ、食べちゃいたいぐらいや)


ロマーノに抱くような家族の愛情とはまた違う気持ち。
もっと苦しくて甘ったるく、醜い。
もう一度イタリアに目をやると目に悪いほどの白い肌に目がくぎづけられる。


――汚して、傷つけて、よがらせて、鳴かせたい


瞬時に感じた自分のあまりに俗的な感情につい苦笑してしまう。
正直、自分がここまで末期だとは思わなかった。


「やっぱし我慢せななー」


イタリアに手などだしたら命が危ない。
ここは絶対堪えねば‥ぐっと拳に力を入れ決心する。


それにしても‥

「‥‥気持ち良さそう‥」

寝息をたてて仰向けになって夢を見ているイタリア。
みているだけでこっちまで幸せになってくる。

(幸せにはなってくるけど‥なぁ?)

純粋そうな顔をしているというのに服をはだけさせ暑いのか少し顔を赤くしているイタリアはなんとも扇情的だ。
さっきした決心は早くも揺るぎ始めている。


(ロマーノにはこんな気持ちならへんのに‥)


寝ているイタリアは下半身にぐっとくるものがあるというか、とにかく理性を保つのが大変だ。


「襲っちゃだめや、襲ってしもうたら死ぬ」


自分に言い聞かせるように呟いてみる。
こうでもしないと今すぐにでもイタリアの上に覆いかぶさってヤってしまいそうだ。



(襲いようもんならロマーノはもちろんドイツやプー達にも殴られるやろ‥それはいややなー

でもばれなきゃ‥まだロマーノも寝とるし手早く済ませれば‥―

いやいや駄目や、やっぱ無理やりはいかんわ、

でもなーイタちゃん嫌がらなそうやしな‥

けどイタちゃんに好きな奴おったら流石に嫌やろ‥

あーでもこのまま寝取ってまうって作戦も――)



スペインがそんな事を悶々と考えていると隣で寝ていたイタリアがごそごそと起き出す。
まだ眠たそうな目を擦りながらイタリアはまだ一人で騒いでるスペインに声をかけた。


「ヴェ‥スペイン兄ちゃんおはよぉ」
「あっイタちゃん‥、起きたんか。おはようさん‥」
「あれ兄ちゃん‥元気ない?」
「んーいやー別に気にせんといて‥」

不自然なスペインの態度に首を傾げながらもイタリアは兄の待つリビングへ向かった。

一人残されたスペインははぁー、とため息をつきベッドにダイブする。
まだ温もりののこるベッドからはイタリアの甘いお菓子の匂いがした。


(後少しで襲ってまうところやった‥起きてくれてよかった‥ああでもなぁ‥)


枕に顔を埋めながら安堵しながらもやっぱり千載一遇のチャンスを逃したような気がしたスペインだった。


end


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