novel
□そんな日常
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(風が気持ちいい‥な)
トマト畑に寝転びながら空を見上げた。
頭の上を雲が通り過ぎていく。
横ではスペインがすやすやと寝息をたてて子供のように寝ている。
ごろりと横を向きスペインのだらし無い寝顔を眺めてみる。
少し跳ねている黒い髪は風でそよそよとゆれ、こんがりと焼けている肌は今は暑いのか汗を浮かべていた。その様子につい口元が綻んでしまう。
(こいつ、ホントに昔強かったのか?)
ロマーノが知るスペインはいつでもトマト、トマト言っていてだらし無く頼りない姿ばかりだ。
昔とはいえ、太陽の沈まない国と言われるような威厳はかけらもない。
(それなのに俺はスペインの事が‥‥)
正直自分でも不思議だ。でも寝ている彼を見るだけで鼓動は高鳴るし、頬は赤くなる。
(寝てるときぐらい素直になっても‥)
起き上がり周りを見渡してからスペインの頬に優しくキスを贈る。汗が少ししょっぱい。
「って俺は何して‥///」
自分のした行動が急に恥ずかしくなり俯せになって倒れる。体が暑い。
ほてった体にはそよ風はちょうどよくロマーノはそのまま眠りについた。
ロマーノが眠ったのを見届けるとスペインはため息をついてゆっくり目を開けた。
「ロマったら意外と大胆やなぁ‥」
キスをされた方の頬に触れてみる。柔らかくて湿っていたロマーノの唇の感触がまだ微かに残っている。
滅多にキスをしてくれないロマーノ。別にそれが不満なわけではないけれど‥
トマトのように赤くなる彼の事を思いだしふって笑みが零れる。
(でもたまにはこーゆーのもえぇなぁ‥)
end
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