novel

□風邪がくれた幸せ
1ページ/2ページ


朝起きると体がだるかった。

(風邪か?)

最近忙しかったし思い当たる節はいくつもある。
とは言え国として簡単に仕事を休むわけにはいかない。だるい体を動かし仕度を調え仕事机につく。


(頭、いてぇ‥)

ずきずきと痛む頭を押さえながら今日中にやらなきゃいけない書類にむかう。
体の節々がギシギシと音を立てているし寒気もする。

(こんぐらい我慢しないと‥)

しかしその努力とは裏腹に上から押し付けられた書類の山は先程から一向に減る様子はない。

(もうすぐあいつが来んのに‥)

目眩がする。だんだん視界がぼやけて来た。

(ちょっとやばいかも‥)

部屋の扉が勢いよく開く。
イギリスは力無く椅子からずり落ちた。


「Hey!Good morningイギ‥リ、ス?」

意識が途切れる前に間抜けなアメリカの声を聞いた。




「んっ‥‥あ、れ?ここ‥」

目が覚めると自分の家の寝室にいた。ベッドに寝かされ頭には冷えたタオルまで乗っている。

「あっ気がついたかい?」
「アメリカ‥」

部屋に入ってきたアメリカの手には市販の風邪薬。水と一緒に手渡され促されるままにそれを飲む。

「君大丈夫?結構熱あったみたいだけど」
「ん、たぶん‥それよりここまで運んでくれたの、お前か?」
「そーだよ」
「冷たいタオル乗っけてくれたのもか?」
「うん、因みに服を着替えさせたのも俺さ」
「へ?あっ」

言われてみると先程まで来ていた服ではない。

(つまりはアメリカがを脱がせて着替えさせてくれたってことだよな‥?)

はっとイギリスはズボンの下の下着を確認する。下着まで新しくなっているのをみてイギリスは真っ赤になった。

「おまっ裸‥っ//」
「何今更照れてるんだい?今まで何度も俺とエッ‥」
「わああぁぁ!!ッ?!ゲホッエホ」
「‥まだ安静にしときなよ、風邪ひいてるんだから」
「‥‥うん」

アメリカは優しくそういいイギリスの頭を優しく撫でた。
その優しい手つきに安心する。

「そうだ、なんか食べるもの持ってくるよ」
「あっちょっと待って」

イギリスは出ていこうとするアメリカの袖をギュッと握った。
不思議そうな顔をするアメリカにイギリスは少し躊躇いながら小さな声で呟いた。

「‥‥‥が‥う」
「え?」
「っありがとうって言ってんだよ!馬鹿ぁ//」
「イギリス、君‥」

真っ赤になって俯くイギリスをアメリカが優しく抱きしめる。
躊躇しながらもイギリスもアメリカの背中に手を回した。
そのまま俯きがちなイギリスの顎を持ち上げ優しくキスをする。触れるだけの優しいキス。

「なんか君、今日素直だね?」 「うるせーよ‥何笑ってるんだよ?!」
「んー別にぃー」
「むかつく!早く飯用意してこいよ!」
「はいはいっと」

具合が悪い割には元気な彼のためにアメリカは料理を作りに部屋を出た。


(たまには風邪もいいな、なんて思ったことはさすがに言えない‥)


end


NEXT→あとがき
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ