Um romance
□幸せになろう
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結婚は人生の墓場だ、なんていう人がいるけどそれは絶対違うと思う。
少なくても愛する人との結婚が墓場であるわけがない。
だって今の俺は墓場どころか天にも昇りそうな気分なのだから。
「イタリア、準備できたか?」
「うん」
控え室のドア越しにかけられた声に出来るだけ何時も通りに答える。
その声が少し緊張していたことが気づかれなければいいのだけど。
今一度自分のまとっているいる衣装に目をやる。
白いフリルのあしらった純白のウェディングドレス。
俺も一応男だしスーツにしようと思ったのだけど日本の強いすすめでドレスになった。
今来ている衣装は全部俺と仲人である日本とで見立てた。このドレスは自分的にも気に入っているし、日本もいいといってくれた。
けれど。
ゆっくり開かれるドアにばくばくと心臓がうるさい。
「・・すごく、綺麗だな」
俺の姿を見たドイツが口元を押さえてやっと出した第一声はそれだった。
その声を出すまでに目を瞬かせたり、顔を真っ赤にしたりなにやら忙しかったけど「綺麗だ」その言葉だけで俺には充分で。
「似合ってる?」
「ああ、とても。でもなんでドレス・・・日本か」
「うん」
小さく苦笑して小柄な黒髪の友人を思い出す。
こうして俺とドイツが結婚することになったのも日本のお陰だ。
日本での軍事会議の時、俺はドイツからプロポーズを受けた。
すごく驚いて、戸惑って、でもそれよりなにより嬉しくて。その場でsiと返事をした。
日本は何かと俺達二人の面倒を見てくれる。優しくて不思議で聡明で。
そんな彼も今、俺達の入場を教会の席で待っているのだ。
「いこっか」
「・・そうだな」
緊張した面もちのドイツにくすりと笑う。
几帳面に皺一つない白いスーツのネクタイをひっぱり軽くキスをする。
驚いたように目を大きくするドイツが愛おしくてセットが崩れるとか、そんなことも気にせずにそのままぎゅっと抱きついた。
これから、この人と夫婦になるのだ。毎日同じ家で生活し、毎日を一緒に過ごす。
嬉しいときも苦しいときも楽しいときも悲しいときも、全部をこのドイツと共有するのだ。
いつの間にか背中にまわっていた逞しい腕の中で8センチ先のドイツを見上げる。
「ドイツ」
「なんだ?」
「俺達、幸せになろうね」
「ああ、勿論だ」
そう言って夫となる、愛するドイツから差し出される手をとった。
end
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