Um romance

□手放せない
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体がだるい。
朝起きて一番に感じた体の異変の理由に、隣りに寝ているアメリカの存在を見つけて納得する。

朧気だった昨日の記憶がよみがえり、少し頬が赤くなった。
初めてでは無いというのに、いつまでもその行為に羞恥を覚える自分にいい加減腹が立つ。

関節をばきばきとならし、眠気を覚ます。
ちらりと時計に目をやると時間は普段の起床時間をとっくに過ぎている。



「おいアメリカ」


隣でぐーすかと間抜けな顔で居眠りを続ける恋人を呼ぶ。揺さぶっても起きる様子の無いアメリカに小さくため息を落とした。


そういえば昔アメリカがまだ幼かった頃はこんな風に毎日起こした。
小さかったアメリカは悪態もつかないまるで天使のような可愛らしさで戦いで疲れていた自分はいつもアメリカの笑顔に癒されていたんだっけ。

その時はアメリカとこんな関係になるだなんて考えてもみなかった。
昔のイギリスがこのことを知ったらなんと言うだろう。



今更だとは思うけど時々、自分はこれでいいのかと思う。
今、隣に裸で寝ている男は紛れも無くあの小さな弟で。この金の髪も瞼の下の青い目も昔から少しも変わりはしない。

そのアメリカと恋仲であるという事実。
それを確認するたびに嬉しい気持ちを感じると同時に背徳心に似た、罪悪感に襲われる。


図体も態度もでかくなりそれ応じた実力も持ち、アメリカはたしかにあの頃とは違う。
それでも、体を這う手も耳元で甘い言葉を囁く口も欲に濡れた視線でイギリスを見つめる目も腰を穿つそれも全て、あの弟のもので。

それを感じるたびに自分の罪を目の前に突き出されてるような気になる。



(それでも・・)



自分はこの関係を終わらせたいとはこれっぽっちも思っていなくて。そうするのが正しいのかも知れない。
ちゃんとした女の子とちゃんとした恋愛をさせてやるべきなのかもしれない。

でもそれが、できない。

それがまた罪悪感をにじませる。


愛してる、これ以上無いくらいに。弟としてではなく、男として、恋人として。
みっともないし情けないけど。


「俺はお前を手放せそうにないよ」



end
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