Um romance

□伝えられない
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好きで好きで好きで堪らない。
どうしようもなく愛おしくて一秒だって離れていたくなくて、君の吐く息すら愛おしい。


こんな事を言ったら君はどんな顔をするのかな?きっと目を見開いて驚くだろう。
君は俺がこれほど君を愛しているか、小指の先ほども理解していないだろうから。

この感情はどんな言語を駆使したって伝えきれなくて、ましてや「愛してる」の六文字なんかに乗せられるほど簡単な感情じゃないんだ。

抱きしめてもキスしても体を重ねても伝えきれない。
でも俺はそうする以外にこの気持ちを君に伝える術を知らなくて。




「イギリス」
「あん?」



手元の本から目を上げずにヤンキーのような返答をする恋人にため息をつく。


本当に君は俺の気持ちがわかってないね。


喉まででかかった言葉を飲み込む。そんな事いったって何にもならない。
だいたい、じゃあお前の気持ちを俺に言ってみろなんて言われたところでこの感情をあらわすことが俺にはできないのだから。


汚くて薄暗い、それなのに光り輝き、温かい。冷酷にして慈愛に満ちたこの矛盾した感情、言葉になんて出来やしない。
その事実は俺をいつだって不安にさせる。君に全てを伝え切れない苦しさ。君には分からないだろう?

どれぐらい俺が君のことを愛しているのか、ああ愛してるなんて言葉なんかにはおさまりきらないんだ。
なんて言えばいいのだろう。

何を言ったら、何をしたらこのどろどろとした、それでいて美しいこの思いの全てを君に正しく伝えられるかな?




(俺の思いに気づいて!)


end
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