Um romance

□君が欲しい
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小さい頃から欲しいものは何でも全部与えられて来た。
菓子も銃も本も、自分の「欲しい」の一言でイギリスはなんだって自国から持ってきてくれたのだ。


今になって思えばそれはとても恵まれたことだったとわかる。

でも愛されること、施されることが当たり前だった自分にとってそんなことは当たり前で。
まして、親だからといって子供を叱ったり怒鳴ったりするなど野蛮かつおかしいことだと思っていたのだ。

幸か不幸かそんな状況の中で育ってしまったわけだから、自分がこんなにも欲ばりに育ってしまったのもしょうがないと思う。



「はぁ?んだよそれ。責任転嫁してんじゃねぇ」




偉そうに椅子に足を組んで座るイギリスが眉をよせて、呆れたように文句を言う。


責任転嫁なんかではない。確固たる真実だ。
イギリスが自分を甘やかしたから自分は強欲な人間に育ってしまった。

成長すればするほど、イギリスに与えられものだけでは足りなくなって。
イギリスが向けてくれる親愛では足りなくなって。




「違うね、絶対君のせいさ」
「何を根拠に‥」
「君は甘やかしすぎたんだよ」




なっ、と強張るイギリスの頬にゆっくりと手を伸ばす。


柔らかくてすべすべとした白い肌を優しく撫でる。
そうだ、これに触りたくて独立したのだ。

跳ねた金の髪に、シャツで隠された華奢な体に、指に、太腿に、触りたくて。
イギリスの体も愛も全部欲しくて独立したのだ。




「ね、だからさイギリス」



自分を映すグリーンの瞳を見つめる。



「責任とって俺のものになってくれる?」

end
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