Um romance

□最高の朝に
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「起きて、プロイセン」



その声の心地よさについ、開けかけた瞼を閉じる。
一瞬開けた瞳はたしかに愛しのあの子が明るい太陽に照らさせている姿を捕らえた。


頭上から降る耳障りの良い、暖かい声。音に色をつけるなら君の音はオレンジ。優しくてふわふわしていた暖かい。
食べたら甘い味がしそうだな、なんてくだらないことを考える。

それに君の声は少し高くて、どこにいてもおのずと耳に入ってくるんだ。
まぁそれは愛の力とかかも知れないけど。ああ、そうだったらいいな。



「起きてってばー朝だよー」


イタリアちゃんの細い腕がゆさゆさと体を揺さぶる。なんとなくそれすら気持ち良くて狸寝入りを続行する。

ああ、可愛いな。本当に可愛い。
起きない俺に困ったようにハの字になっている眉、朝の光に照らされてきらきらと反射するブラウンの髪、今きっと俺だけが映っているだろう紅茶の瞳。
想像するだけで十分可愛いのだからきっと目をあけたその先に見える君はもっと綺麗なんだろう。

見たいな、もし朝からそんな君が見れたならいくらロシアに会おうとハンガリーに殴られようときっとその日一日は最高の一日になるのだろう。


ふと揺れがおさまる。不思議に思い動かないでいると頬に当たる柔らかい髪の感触と柔らかな息。



「本当に寝てるのー?」



今、俺の顔を覗き込んでいるであろう君を想像して我慢ができるほど俺は忍耐強くはなかった。

ぱっちりと瞼をひらくと目の前に広がる紅茶色の瞳。驚いたように大きく開かれたそれに吸い込まれそうになる。
ああ、やはり予想以上に可愛い。

そのまま衝動にまかせて彼をベッドんに引き寄せた。
ぼすんと音を立ててベッドにダイブするイタリアちゃんをぎゅっと抱きしめる。



「なんだやっぱり嘘だったんだー」
「ケセセ騙されたな」
「俺気付いてたもん」
「あっそー‥‥なぁもーちょっと寝ない?」
「いいね、俺もまだちょっと眠たかったんだ」



にこっと笑う腕の中のイタリアちゃんの額に優しくキスをして、もう一度瞼を閉じた。


end
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