Um romance

□世界には
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*病み注意!




お前のまわりにはいつも誰かしら人がいる。
それは人間だったり国だったり動物だったり様々だけど。その様子は俺にとって面白いものではなくて。
いつも歯がみして、イライラして、それらとお前とを引き剥がしてお前は俺の物だと叫び出しそうになるのを堪える。

そんなときにふと思う、どうしてこの世に俺とお前以外の物がいるんだろう、と。





「イタリア」


名前を呼んでやればびくりと大げさなまでに跳ねるむき出しの肩。
細く、病的なまでに白い肌につい眉間に皺を寄せる。


「また痩せたんじゃないか?」
「っご、ごめんなさ・・」
「パスタも残っているじゃないか」


今日の朝渡した朝食のパスタの残った皿を見つける。
最近、イタリアはめっきりものを食べなくなった。パスタもピッザも以前なら飛びついて来るほど好きだった好物にすら手をつけない。
びくびくと震えるイタリアに優しく微笑みかける。



「食べたいものを言え。なんでも作ってやるから」
「だい、じょうぶ・・です」



消え入るような声で呟くイタリアにため息をつく。
わがままを言わなくなったのは良いとしてもこうも何も言わないとこちらも困ってしまう。



「イタリア、どうかしたのか?」
「なんでも、ない」
「なんでも無くは無いだろう、言ってみろ」


促すように顔にかかった髪を耳にかけてやるとイタリアがゆっくりと伏せられていた瞳を上げた。
真っ赤に腫れ上がり、充血している目をしたイタリアが躊躇うように唇を開く。


「みんなを、どうしたの?」
「みんな?」
「日本達だよ!」


イタリアが大声を上げて立ち上がる。足首に付いた鎖ががしゃんと音を立てた。
ああ、そうか。イタリアはそれが気になっていたのか。


「あいつらか」
「みんなに何をしたの?!」
「お前が見たいのなら持ってきてやろう」


見て気持ちのいい物ではなかったから隠していたがイタリア自身が見たいと言っているのなら問題は無いのだろう。
部屋の外からそれらを持ってくる。イタリアが息を飲んだのが分かった。


「なに、これ・・」
「"みんな"だ」
「嘘・・」
「嘘なぞお前につかん」


それをみて崩れ落ちるイタリアを慌てて支える。
真っ青な顔をしているイタリアにやはり見せなければよかったと後悔をする。
そうだ、イタリアは繊細なんだ。まったく、死んで尚イタリアを困らせるとは本当にあいつらは。



「大丈夫か?」
「どうして、こんなこと・・・っ!?」


涙を流し息も絶え絶えになりながら呟くイタリアに首をひねる。
どうして?そんなこと、分かり切ってることじゃないか。


「邪魔だったからな」
「なっ!?」
「世界には俺達二人で充分だろう?」


蒼白なイタリアに安心させるように優しくキスをする。
なぁイタリア、これでやっと世界には俺達だけだ。


end
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