Un roman
□結婚記念日たる日②
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開いた手帳についた×印。
今日という日を指折り数えること一ヶ月。
青いペンでぐるぐると囲ってあるのが今日だと思うと緩む口許が隠しきれない。
“結婚記念日”
ちょうど自分とイギリスが結婚してから一年。この一年は、色々あった。
結婚してからの生活は付き合ってる時とは全然違ってて。毎日イギリスの不味い飯を食べて毎日イギリスに見送られて出勤した。
喧嘩したり仲直りしたり。殴り合ったりキスしたり。
毎晩毎夜セックスしたかと思えば二週間以上無しだった事もある。
それでも今こうしたイギリスとラブラブな生活をおくれているのはアメリカもイギリスを心のそこから愛し、またイギリスも心のそこからアメリカを愛しているからだと自信を持って言える。
だからこの結婚してから一年という記念すべき日が待ち遠しかった。
一年と言ったら自分たちにとっては大した時間ではない。それでもこの一年は今まで生きてきた中でも濃い一年だった。勿論イギリスもそうに違いない。
そしてだからこそ、この記念日にアメリカはささやかな、しかし自分にとっては困難な目標を立てた。
（今日こそしっかり・・）
イギリスを目の前にするとつい意地悪をしたくなる自分は結婚してから一度としてイギリスに言いたかったことを行っていない。
これを言ったらきっとイギリスは嬉しすぎて涙をぽろぽろ流すに違いない。言ってみたい、言って上げたい。
それでも何度言おうと口を開いて出てくるのは自分でも笑ってしまうような意地悪な言葉ばかり。
イギリスには自分の小さい頃から今に至るまでを一番近くで見られてきたというのに未だに言えないその言葉を今日という特別な日にうち明けると決めたのだ。
決心してから一ヶ月経つというのにまだ臆病にもびくびきする気持ちを心のなかで笑い飛ばす。
（絶対に言うんだ！）
緊張に汗ばんだ手をぎゅっと握りながらイギリスが待つ我が家を目指して足を進めた。
end
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