Un roman

□なんという悲劇
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「おいヴェスト!!はぁっ最悪なっニュースだ!!!」
「オ、オスト?!」



真っ青な顔で部屋に駆け込んできた兄さんに目を丸くした。
いつも騒がしい兄さんだがこんなに狼狽した姿は久しぶりに見た気がする。


「どうかしたのか?」
「イタ、はぁ‥付きあ‥ふっ」


そうとう大急ぎで走って来たのだろう。懸命に何かを喋ろうとするが上がった息のせいで言葉にならない。

乱れた呼吸を整える事もせずに事を伝えようとするということは相当な大事件らしい。
しかしこうも息が上がっている中、喋ることは困難だろう。



「兄さん、一旦落ち着いて‥」
「イ、イタリアちゃんがっ!!」
「っ?!」


イタリア、その名を聞いた途端に体が固まる。
兄さんが言わんとすることが何かイタリアに関係することなのだろうか?



「‥イタリアが?」
「フラ、ンスと付き合ってるって!!」
「なっ」



あのフランスとイタリアが付き合っている?そんな話、初めて聞いた。
確かにフランスとイタリアは一応兄弟、ということもあり仲がいい。

しかしそんな重要なことをイタリアが自分に黙っているなんて。



「嘘、だろう‥?」
「スペインが‥フランスとイタリアちゃんがキスしてるとこ見たらしい‥」



信じられない。いや信じたくなかった。イタリアが自分以外の男と付き合ってるなんて。
自分以外の男にハグを求め、キスを求めるなんて。

有り得てはいけない、有り得て欲しくない。

やっとイタリアに対する恋心に気付いたのに、気付いたときにはもう遅いだなんて。


なんという悲劇なんだろう。




「まだ確信はねぇけど多分‥‥ヴェスト?」


遠くに兄さんの声を聞きながら俺はただただ呆然とその場に立ち尽くした。

end
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