Un roman

□学習能力って身に付かない
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「兄ちゃん兄ちゃん、おはようやでー」
「ぅえっ?!イ、イタちゃん?!」


とある国会議事堂の廊下。
スペインが飛び付いて来たイタリアに珍しく素っ頓狂な声を上げた。
イタリアが飛び付いてきたことではない、イタリアの使った言葉にだ。目を白黒させるスペインの様子にイタリアは楽しそうに笑った。


「どうしたん?兄ちゃん」
「いやいやいやイタちゃんこそどうしたんや?」
「えっへっへー兄ちゃんの真似やでー」


かっこいいやろー?とはしゃぐイタリアが堪らなく可愛くて衝動のままに抱きしめる。


「あーほんまなんでこんな可愛いんやねん!!」
「えー可愛いんじゃなくてかっこよくなりた‥」
「イタちゃんは天使や!いや神や!もう最高に可愛い!この世のものじゃあらへん!」
「ヴェ?兄ちゃん?」
「もー俺の真似なんかしてこれ以上俺を惚れさせてどないするきや?!!殺す気か?!殺す気やな?!もー俺イタちゃんになら殺されてもいいで!!」
「ちょ、兄ちゃんぐるし‥」


可愛い、可愛い!と騒ぎながらぎゅうぎゅうと抱きしめているとイタリアが苦しそうに声を上げた。
慌てて腕からイタリアを解放する。
イタリアの事になると周りが見えなくなるのは自分でも欠点だと自覚している。

涙目になって息を整えるイタリアの背を優しくさすってやった。


「すまんなぁあんまりにも可愛くてつい、な」
「ヴェー大丈夫だよ」


健気な笑顔で笑うイタリアをまた抱きしめたい衝動に駆られるがそこは理性でぐっとたえる。

それにしても何故彼はいきなり自分の真似などし出したのだろうか?
鉛がうつると言うほど会えているわけでもないし彼の周りで自分のようなしゃべり方をするものもいない。

いつものイタリアは流暢な標準語で柔らかな物腰で話すのに。そしてそのしゃべり方が自分はとても好きなのに。
勿論自分の真似をするイタリアはとても可愛かったが。



「・・・なんでイタちゃんそんなしゃべり方してんねん?」
「んーとね、なんかスペイン兄ちゃんがこうやって話すのがすっごくかっこよく見えたからー」
「えっ!?」
「でも俺が喋ってもあんまりかっこいくないや。これは兄ちゃんが喋るからこっこいいんだねー」


残念、と笑うイタリアに先の失敗も忘れて飛びついた。



3分後、気絶したイタリアの前でスペインが号泣したことは言うまでもない。

(「ごめんなぁ!!イタちゃん死ななんといてー!!」)

end
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