Un roman
□この技すごいですよ
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「ヴェールートルート見て見て〜」
「‥‥何をしているんだフェリシアーノ」
参考書から顔をあげて目に飛び込んできたものはぶかぶかなカーディガンを着たフェリシアーノ。
こういう時はだいたい何かあることは予想していたがどうやら今回は朝着ていたカーディガンとは違うカーディガンを着ているらしい。
「どうしたんだ、その格好」
「えへへースカートはフェリクスからでカーディガンはイヴァンから借りたんだよ」
イヴァンという名にドキリとする。教師すら恐れる彼から物を借りられるものなのフェリシアーノぐらいしかいないだろう。
目の前のフェリシアーノにうっすら尊敬の念を覚える。
それにしても今のフェリシアーノの恰好はなんと言うかとてもかわいらしい。
短いスカートは赤いチェックの柄で彼には少し大きすぎるカーディガンも袖はながすぎて辛うじて指が見えるぐらいだし、丈はなぜだか履いているスカートの先が少し見えるぐらいまですっぽりと覆ってしまっている。
動くたびに短いスカートかから白い太股がちらちとら覗いて正直、直視できない。
「・・なんでスカートなんてはいているんだ」
「フェリクスに『カーディガンっていったらスカートが基本だしー』って言われたの」
「あいつめ・・ていうかカーディガンも大きすぎじゃないか」
「それはわざとー」
「は?」
「むっふっふ〜」
フェリシアーノはそう怪しげに笑うと長い袖でぺしぺしと俺をたたき始めた。
「な、なんだ?!」
「ルート覚悟!フェリクスと考えたこの技で今日こそルートに勝つよ!」
なにやら楽しげに長い袖を振り回すフェリシアーノ。
よく分からないがこの袖を振り回すだけの技でフェリシアーノはなぜだか俺に勝つつもりらしい。
当たったところでさして痛い訳ではないがなんだか腹が立ったので体をぺしぺしとたたく袖を素早く捕まえる。
「ヴェ!?」
「これでよしっと」
「えっ?えっ?何コレ?」
ぎゅっとカーディガンの袖を方結びして椅子に座り直す。
フェリシアーノはと言うと隣で一生懸命袖の中に腕を通したまま結び目をはずそうと奮闘していた。
カーディガンを脱いでからほどけば容易いことだというのにそれに気づかずに頑張っているフェリシアーノに呆れつつ、読みかけの参考書を開く。
が、隣のフェリシアーノのスカートが気になって集中できない。
ちらちらと行ってしまう自分の目線を情けなくおもっていると突然上から越泣き声が降ってきた。
「・・うぇルートぉコレ、グスっ・・ほどけな、」
「ちょ、お前泣いて・・!」
ばっと顔を上げるとフェリシアーノが大きな瞳からぼろぼろと涙をこぼしていた。袖が結ばれてるせいで拭えない涙がの頬を伝って地面に落ちる。
慌ててポケットに入っていたハンカチで涙を拭ってやる。
「す、すまん・・そんなに泣くとは思わなくて・・」
「うっ・・ぐすっ、ん、大丈夫・・」
泣きやんだフェリシアーノの袖の結び目をほどいてやると長い袖でごしごしと目をこする。
その姿があまりにも可愛くて・・
「フェリシアーノ、頼むからその格好他の奴の前でするなよ?」
「ヴェ?」
誰にも見せたくないと思った。
end
〜おまけ〜
イヴァンからカーディガンを借りてルートの教室に向かう途中、
「ようフェリシアーノ!」
「あ、兄ちゃん達!」
「フェリちゃんなんちゅう可愛い格好しとんの!?」
「うおぉ!可愛すぎるぜ!フェリシアーノちゃん!!」
「お前そんな格好して何すんだ?」
「あのねードイツを倒すの」
「なんやーえらいけったいな事するんやなぁ」
「どうやってあの馬鹿強い弟を倒すんだ?」
「フェリクスと開発した技なんだけどね、兄ちゃん達にも見せたげる!」
技発動中
「「「っっっっ!!」」」
残ったものは血だらけ(鼻血)の男達と
「うひょーすげー!この技!」
なにやら勘違いをしたフェリシアーノだった。
end
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