Un roman

□今月で出張は3回目です
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玄関を出てこうとする、彼のシャツを必死で掴んだ。不機嫌そうな顔で振り返るドイツを涙目になりながらみつめる。
今ここで彼をひきとめなくては自分の元から去ってしまう。



「やだっ!ドイツ、いっちゃやだ!!」
「・・イタリア離せ」
「嫌だよ!離したらドイツ、俺の元から居なくなっちゃうでしょ!!?」
「イタリア、分かってくれ」
「分かりたくない!俺はこんなにドイツの事が好きなのに!!」
「駄々をこねるな、いいから離すんだ」
「何で・・!?ドイツは俺が嫌いなの!?」
「そうじゃない、勿論愛している」
「じゃあなんで?!」
「・・そうしないといけないんだ、いい加減に分かってくれ」
「こんなにも愛し合ってるのに・・」
「〜〜っもういい加減にしろ!!たかが出張でべそをかくんじゃない!!!」



怒鳴られた言葉に首をすくめながらもむすっと頬を膨らます。たかが出張?冗談じゃない。
大好きな愛する人と3日も離ればなれになるのだ。たかがなわけがない。たかがですまされるような問題じゃない。

そう、3日もドイツに会えないのだ。声を聞くことも抱きしめることもキスする事も、この匂いを感じる事さえできないのだ。
改めてそう思うとまだ目の前にはドイツがいるというのに寂しさがこみ上げてくきた。
袖を掴んでいた手を離し、ドイツにぎゅっと抱きつく。



「・・ドイツ、俺淋しいよ・・」
「俺だってお前に会えないのは淋しい」


ドイツの大きな手が頭をなでる。余計に淋しくなって泣けてきた。
ゆっくりと顔を上げドイツを見上げる。
ドイツも心なしか目が潤んでいるように見えた。



「ドイツ、早く帰ってきてね・・?」
「ああ、できるだけな」
「そうじゃないと俺、淋しくて死んじゃうよ」
「・・すぐ帰るさ」


ちゅっと音を立てて額にキスを落とし出ていくドイツの背中を俺は泣きながら見送った。


end
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