Новый

□雪
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春夏秋冬。

ぐるぐる回る季節の中で俺は死ぬことも出来ずにただぼんやりと生きていた。

守れなかった主と死んでいった仲間達。何故自分だけが生き残ってしまったのか。
国という難儀な存在に生れつき死ぬことも叶わず、しかも国名を剥奪された自分は一体何者なのだろう。

言い知れぬ孤独感の中でただ息をして食べて寝て。

春に舞う桜も、夏に光る海も、秋に散る葉も、冬に積もる雪も何一つ感動出来ずに季節がただ淡々と規則的に去っていく。
生きることを持て余しながら生きる。なんとも贅沢で哀れな生き方をしていた。


そんな中で俺は君に出会ったんだ。




「イタリアちゃんっ」


時計の下で自分を待つ彼の名前を呼ぶ。
遠くから見てもそのブラウンの髪と端正な顔立ちは一目でイタリアちゃんだと分かる。

飛び上がるように振り返る彼の肩には朝から降ってる雪がうっすらと積もっていて。
駆け寄る俺にイタリアちゃんは小さく頬を膨らませてみせた。


「プロイセンー遅いよー」
「ごめんな!服選んでたら時計見んの忘れててよ」
「あはは、格好悪ーい」


楽しそうに笑うイタリアちゃんの頬に付いた雪を優しく払ってやる。
イタリアちゃんの白い頬は心なしかいつもより赤みがさしていて、触ってみればひどく冷たくなっていた。
申し訳なさに胸がちくりと痛む。


「本当にごめんな。寒かっただろ?待ち合わせ、屋内にしときゃ良かったな」
「大丈夫だよ。俺、雪大好きだから!屋内で待ち合わせてても雪を見に外に出ちゃってたと思うし」
「〜っイタリアちゃん可愛すぎるぜっ!」


えへへと笑うイタリアちゃんを込み上げる愛しさに任せて抱きしめる。


彼と出会って世界が変わった。
初めて人を愛した。イタリアちゃんと話せたら一日中幸せでイタリアちゃんが他の奴と話しているのを見るとブルーになって。
灰色でつまらないただ流れていく日々がイタリアちゃんのおかげでひとつひとつ色を持ち始めんだ。

初めて、明日が楽しみだと感じた。早く明日になれと願った。

俺に生きる意味をくれたイタリアちゃん。
可愛くて優しくて愛おしいイタリアちゃん。
大好きで大好きで、何より愛おしい彼と生きていきたい。そう、感じられるようになったんだ。


「イタリアちゃん、大好き」
「俺もプロイセンがだーい好きだよ」
「あーっもう俺様幸せすぎるっ」
「ヴェッ?!」


イタリアちゃんを腕の中に抱えたまま積もった雪の中にダイブした。
雪だらけになりながらイタリアちゃんの頬に額にキスをする。


「イタリアちゃん超最高」
「ヴェー雪まみれになっちゃった」
「雪好きなんだろ?」
「うん好きー」


雪の中で微笑むイタリアちゃんはいつもの何倍も美しく見えた。


「イタリアちゃんは無邪気だな」
「えープロイセンは雪好きじゃないの?」
「俺は・・」


別段、好きじゃなかった。
雪が降ろうと特にメリットはないし、それどころか寒いばかりでむしろ嫌いだったかもしれない。

けれど。
雪が君を綺麗にするなら。君が雪を好きだというなら。



「俺も、雪超好きだぜ」
「そっかぁ」


でも、イタリアちゃんの方がもっと好き。そう囁くと照れたような顔で笑ったイタリアちゃんはやっぱりすごく綺麗だった。


end
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