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□狼にしないで
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イタリアちゃんは泣き虫で、怖がりで、痛いのが嫌いだ。

知っている、イタリアちゃんの事ならなんだって。
だからこそ、俺はその行為をイタリアちゃんに無理強いすることが出来ないのだ。




「イタリアちゃん風呂出たぜー‥っと」


濡れた髪を拭きながら寝室のドアを開けるとそこにはいち早く夢の国に旅だったイタリアちゃん。
自分が風呂に入っていた10分間のうちに寝てしまったのだろう。


「おーい、イタリアちゃーん」


呼び掛けてはみるも起きる様子はない。そういえばヴェストがイタリアちゃんは相当の事が無いかぎり起きないって言っていたっけ。
ふぅ、とため息をつき、ちらりとイタリアちゃんを見遣る。
シャツ一枚のイタリアちゃんは当然下着も身につけておらず、寝ている状態であるとなかなか艶やか、というかなまめかしい。
自分と同じ男の足とは思えない色気にくらりと目眩を覚える。
無意識のうちにごくりと唾を飲んだ。



「人がどれだけ我慢してるか知らねぇで‥」



ベッドに乗り、イタリアの上に覆い被さる。ベッドが二人分の重さにギシリと音を立てた。

寝ているイタリアちゃんの瞼に、耳に頬に首に鎖骨にキスをする。


ああ、抱きたい。イタリアちゃんの事をぐちゃぐちゃのどろどろにしてしまいたい。
きっと彼の体は柔らかく、彼の声は甘美で、彼の中はこの上なく気持ち良いのだろう。想像するだけで腰にずっくりと悪い熱が響く。

けれど。
きっとイタリアちゃんは泣く。怖い、痛いと。
彼を泣かしたくはない。彼に怖がられたくはない。
だから、この先は出来ない。


ちっと舌打ちをしてイタリアちゃんの上から退く。

ああ、もしイタリアちゃんがあれほどに泣き虫で怖がりでなかったら。もし俺がこんなにイタリアちゃんを好きでなかったら。
きっと俺は迷わずこの無防備な彼を襲ったのに。


イタリアちゃんの横にごろんと転がりため息をつく。




「頼むから俺を狼にしないでくれよな」


せめて寝る時は下着つけてくれよ、と付け加えて腰に溜まった熱を知らないふりをして瞼を閉じた。


end
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