Новый

□Angst
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「イタリアちゃん、大好きだ」
「えへへー知ってるよ」
「そっか。じゃあさ、俺の事好きか?」
「大好きに決まってるじゃんかー」


その質問何回目?と笑うイタリアちゃんの額にごまかすようにちゅっとキスをする。
嬉しそうにふふ、と笑うイタリアちゃんを優しく自分の腕の中に抱き込んだ。


好き?好き。
意味の無いその問答を繰り返すのはいつでも不安だから。
こんなにも愛している彼を失ってしまったら自分はどうなるのだろう。


イタリアちゃんの愛の言葉を疑うわけじゃ無い。自分には彼を疑う事なんてできやしない。

ただ。この世に不変のものなどない事を俺は知っているんだ。
物質も命も憎しみも愛も全て、永遠に変わらないなんてことはできないと自らの体で知ってきた。


愛してるから、酷く不安なんだ。
自分の事ならわかる。俺はイタリアちゃんが好きだ。恐らく、死ぬまで。
こんなに何かを好きになったことは無い。愛おしくて尊くて大切で。何を失ってもでも守りたい。
そうだ、俺はイタリアちゃんを何より愛してる。


けれど。
イタリアちゃんはどうだ?
三分前は、好きと言ってくれた。では今は?三分後は?未来で彼は俺を好きでいてくれるのか?
分からない、分からないじゃないか。
ごめんね、もう俺プロイセンの事‥そう言われる日がくるかもしれないじゃないか。それが不安で不安でしょうがない。
だから何度も確認したくなる。


好き?好き?好き?俺の事、好き?


答えを聞くたび安堵し、また不安になる。
何度も何度もその繰り返し。出口の見えない間抜けな堂々巡り。





「あーあ、閉じ込めておきてぇなぁ‥」
「ヴェ?」
「イタリアちゃんを誰の目にも触れさせないで、俺とイタリアちゃんだけ二人きり。最高じゃん」



本当にそうなれば最高だ。
そうすればイタリアちゃんが他の奴を好きになる事も無くなる。
もし仮に考えたくはないけれど俺を好きで無くなってしまっても俺から逃れる事なんて出来なくなる。

もちろん無理なことは分かっている。
俺はともかくイタリアちゃんは国だ。
それにそんな事イタリアちゃんが嫌に決まってる。俺に閉じ込められて誰とも会えず、外にも出られない。彼が嫌がる事はしたくなかった。



「ごめん。冗談だ」
「いいよ、閉じ込めても」
「え」



そう言うイタリアちゃんの表情は目を見張るほどに美しくて。
それこそ天使と見間違うほどに清らかな笑顔。
俺の大好きなイタリアちゃんの笑顔。



「だからいいよって。プロイセンが俺の事を閉じ込めたいなら閉じ込めて」
「‥なんで‥?」
「だって俺はプロイセンのものだよ?」



ね?そういって微笑むイタリアちゃんに気付いたら唇を重ねていた。
息をするのも忘れて貪るように夢中でキスをする。
どれだけ時間が経ったか分からない。一分かもしれないし一時間かもしれない。

唇を離して目の前のイタリアの上気した頬をするりと撫でた。頬に添えられた手に愛おしそうに擦り寄るイタリアちゃん。


彼は言った。俺はプロイセンの物だ、と。
イタリアちゃんが、俺のもの。嗚呼、どうしよう。嬉しい。
それをイタリアちゃん本人から言われた事がよりその言葉を喜ばしい物にしていた。
イタリアちゃんはきっとその言葉に俺がどれだけ救われたか分かっていない。不安も迷いも全て、その言葉に消し去られたのだ。





「イタリアちゃん、俺もイタリアちゃんのだから」
「‥うん」
「大好き、愛してるぜ」
「俺も」



幸せそうにはにかむイタリアの顔を引き寄せ、もう一度彼の唇にキスをした。


end
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