Новый

□欲張り
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「プロイセン!」


探していた彼をやっと見つけ、その背中に大声で呼びかける。
もともと目立つ容姿だというのにそれに加えてプロイセンの服装は制服集団の中でも目に付く。

呼ばれた自分の名にはじかれるように銀の髪が振り向いた。イタリアを捕らえたプロイセンの赤い瞳は嬉しそうに輝いていて。
人通りの多い廊下を猛ダッシュでくぐり抜ける。

ぎゅっと飛びつくと当然のようにまわってくる腕に少し胸が高鳴った。
プロイセンの学校指定の制服ではない、パーカーに顔を埋めたまま彼に尋ねる。


「もぉ探しちゃったじゃんかよー!どこいってたのさ?」
「ちょっと敷地外のコンビニで食い物買ってたんだよ」
「あ、それ校則違反」
「ヴェストには内緒な。これやるからさ」


口に放り込まれた飴に体を離すと、にっと笑うプロイセンの手にはポテトチップスやジュースやアイスなど到底一人では食べきれない量の菓子が入ったコンビニの袋。
少し不思議に思い、すぐに答えに行き着く。


「フランス兄ちゃん達に頼まれたの?」
「当ったり。あいつら本当に人をなんだ思ってるんだっつーの!イタリアちゃんからも言ってくれよー」
「そこで引き受けちゃうのもプロイセンは優しいよね」


そ、そうか?と照れるプロイセンに小さく笑う。本当に彼は感情がよく表情にでる。
それに、と心の中で付け足した。


(きっとそのお菓子、プロイセンのためのものだよ)


おそらくフランス達も今、イタリアがプロイセンを探していたのと同じ理由でプロイセンを買い物に行かせたのだろう。
今頃、せっせと教室を飾り付けしているに違いない。

そう考えると一人だ何だとよく拗ねているプロイセンだがやはりちゃんと愛されているなと思う。
きっとそうさせるなにかが彼にはあるのだろう。


「ん?そういえば俺になんかようがあったんじゃねぇの?あ、もしかして俺が恋しく・・」
「全然違うよー。これ、プロイセンに渡そうと思って」


がっくりとうなだれるプロイセンにポケットからあるものを差し出す。
それを見てプロイセンがぱちくりと目を瞬かせる。


「これ・・ブレスレット?」
「そう!俺の手作り!」


手に持った銀に光るブレスレットを掲げてみせる。

美術は得意と自負していたがこれを作るのには数週間もかけてしまった。
しかしその分作りは手が込んでいて所々に赤色の石が埋め込んであり、しっかり名前もほってある。
そのデザインは自分でもなかなか気に入っている。


「俺に、くれんのか?」
「もっちろん!誕生日おめでとうプロイセン」
「え!お、覚えててくれたのか!?」


驚くプロイセンにちょっと胸を張ってみせた。
好きな人の誕生日ぐらい、覚えているに決まっている。どれほど前から自分が準備してきたと思っているんだ。


「腕だして。つけたげる」


袖をまくった手首にそのブレスレットをはめる。
白く、意外にもしっかりとしたその手首にブレスレットは予想道理、いやそれ以上に似合っていた。


「重くない?」
「おう!サンキューなイタリアちゃん!まさかイタリアちゃんから貰えるとはな!」
「えー俺、そんなに信用ないのー?」
「じゃ、じゃなくて!その・・な、やっぱ好きな子から貰えるとか思わねぇじゃん」
「ヴェ!?」


その発言に耳まで真っ赤になる。うわぁ、嬉しいような恥ずかしいような。いや、嬉しいな。うん。
どうしよう、口元がにやける。


「イタリアちゃん顔真っ赤。めちゃめちゃ可愛い」
「プ、プロイセンだってー」
「・・なぁ、イタリアちゃんもう一個プレゼントくんね?」
「え?」


ちゅ。

唇に柔らかい物が触れたと思うと目の前にはプロイセンの顔のどアップ。
キスされたという事にやっと気づく。
初めてでは無いけれど。それでも毎回どきどきしてしまう。




「・・プロイセンの欲張り」


頬を膨らませてそう言うと知らなかったのか?と開き直った彼らしい返事。
そしてまた近づいてくるプロイセンの唇にそっと目を閉じた。

end
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