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□自由気ままに
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あのさ、冬って寒いよね!
だからさ、冬になるとさ暖かいものが欲しくなるんだ!
でさ、暖かいものってカイロとかなんだろうけど俺、カイロとかすぐに無くしちゃうんだよ
というわけでドイツ、くっていていい?





「なんだそれは‥」


とりあえずこのわけの分からない理屈に眉をひそめた。
腕の中でこちらに顔だけむけてきらきらと瞳を輝かせてドイツの返答を待つイタリアに小さくため息を落とす。口から吐かれた白い息が中に霧散していく。

突っ込みどころは多々あるものの、まず言わせてもらうなら「くっていてもいい?」ではなく、「くっついてます」ではないだろうか。
了承をとるもなにも家を出てから現在に至るまでイタリアの華奢な体躯はずっとドイツの腕の中にすっぽり抱え込まれるようにおさまっている。
今日の朝とてそうであったし寧ろドイツの思い出せる限りで、吐息が白くなるようになってからイタリアがドイツの腕の中にいなかったことがあっただろうか。



「すごく今更な質問な気がするんだが?」
「ヴェー何となく思い付いちゃったんだ!それにドイツが嫌だったら辞めようと思って‥」


その言葉に些か面を喰らった。
ドイツが嫌だったら、やめる。
自分勝手、というわけでもないが基本ドイツの意見そっちのけのイタリアにしてはそのドイツの意見を伺う言葉は珍しかった。


ドイツにとってイタリアのその自分勝手ともとれる自由気ままな性格は好ましく映っていた。

歌いたいから歌う、食べたいから食べる、遊びたいから遊ぶ、義務も仕事もそっちのけでただ自分の本能と欲望に任せて動く。
当初のドイツにとってそれは悩みの種で好ましいどころか寧ろ嫌っていたように思う。
しかし今思うと嫌っていた、というより妬んでいた、という方が近いような気がした。
何にも縛られる事なく有りのままの自分で好きな事を好きなときにする。きっと自分には一生かかってもできない芸当。

それが昔は妬ましくて、今は愛おしくて。



「別にいいぞ、お前は好きな事をしてて」
「え?」
「今更俺に気を使うな、ということだ」
「でも‥」


それでも口ごもるイタリアにため息をつき、彼の体に回った腕に力をこめる。
柔らかな髪が頬に当たってくすぐったい。



「それに俺はこの体制、嫌いじゃないぞ。俺も暖かいしな」


そう言って見上げるイタリアの髪から覗く額にちゅっと口づけた。
ぼんっと音を立てて真っ赤になるイタリアが可愛くてよりいっそう回した腕に力をこめた。




「や、やっぱ離してぇ〜」
「寒いから却下だな」


end
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