Ein Roman
□見る目ない奴
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(アホ面め)
隣で眠りこけるヴェネチアーノ。涎をたらし、腹を出して眠る様はとてもだらしない。
勿論可愛いが、だらしない。だらしないことこの上ない。ため息をついて布団をかけてやる。
そいえばよく自分と弟は見た目が似ていると言われる(無論顔だけ、)がまさか自分も眠る時にあんな顔をしているのだろうか?
もう一度、爆睡するの彼の顔を覗き見る。
何度見てもだらしないし男らしさの欠片もない。勿論可愛いのだが。
(・・ない、な)
自分がこんなに馬鹿っぽい顔表情をする筈はないし、第一、弟と自分は言うほど顔は似ていない。
弟と自分のどこが似ているというのだ。
髪だって彼のヴェネチアーノの方が柔らかくて明るい色をしているし、瞳も彼の方が大きくて垂れ目だ。
肌もヴェネチアーノの方がすべすべで白いし、体つきだって多少自分の方がしっかりしている。
「見る目ねぇなぁ・・」
寝ているヴェネチアーノの髪を優しく梳いてやる。自分より少し猫っ毛な髪が指の間を流れていく。
自分たちが似ている?とんでも無い。
容姿も声も性格も、趣味も好きな料理も髪の毛ひとつ取ったって自分とヴェネチアーノは似ていない。
しっかり見なくたってその違いは歴然だ。
そんな違いもちゃんと分からないやつなんかに
「お前を渡したりなんかするかよ」
髪をかき上げた額に優しくキスを落とし、自分も彼の隣りにもぐった。
end
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