Ein Roman

□その唇で愛以外を語らないで
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好き、好き、大好き。
本当に好き。押さえられないぐらいに好きなんだ。



「兄‥ちゃん?」
「何や?イタちゃん」
「これ‥何‥?」



組み敷いたイタリアの涙のはった目の奥に不安と焦りと恐怖がちらつく。
ついその表情に口角があがるのを押さえられない。

初めて見た、イタリアの強ばった表情。
兄と慕われ、全く警戒されていなかったさっきまでは決して見せなかった、見ることの出来なかったその表情になぜだか酷く興奮する。



「何って‥イタちゃんはなんやと思う?」
「っ・・!」


押し倒されたことではだけた彼の首元に唇を近づけ、吸い付く。
イタリアの方がびくっと跳ね上がった。その反応すらスペインの欲を煽る。

ちゅうっと音をたてて彼の首から離れると吸い付いたそこにはイタリアの真白い肌によくはえる、赤い花が咲いていた。
そこをゆっくり愛おしげに指でなぞる。


「綺麗やなぁ」
「やだぁ・・なんで・・っ!?」
「それはなぁ、俺がイタちゃんを愛しとるから」


イタリアの瞳が驚きで大きく開かれる。恐らく予期しない言葉だったのだろう。
そんな表情すら愛おしくて優しく彼の頬を撫でた。
その拍子に溜まった涙がぽたりとシーツに落ちて染みを作った。



「イタちゃん・・」
「スペイン兄ちゃん・・俺、兄ちゃんの事大好きだよ」
「ん・・知っとるよ」
「けど俺はが愛してるのは・・んぅ・・」



イタリアが言い終える前にスペインは彼の唇に深く口づけた。彼の口が最後の言葉を綴れないように。

end
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