Ein Roman
□綺麗な手
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「イギリスって指綺麗だよね」
「ぶほっ!!」
突然の口説き文句に飲んでいた紅茶を盛大に吹き出した。
「うわっ汚いよ!飛ばさないでくれる?!」
飛びのくアメリカに文句を言おうと口を開くが紅茶が気管に入ってしまったのか、咳込むばかりで言葉がでてこない。
ケホケホと噎せているとアメリカが呆れたように背中をぽんぽんと叩いてくれた。
「大丈夫かい?」
「けほっ!ん、大丈夫‥」
落ち着いたところで一先ず吹き出してしまった紅茶を拭く。
おもいっきり吹いたせいで机の上どころかアメリカまで濡れていしまっていた。
不快そうに顔をこするアメリカに慌てて謝る。
「わっ悪い!今、拭くから!」
「ん、じゃあよろしく頼むよ」
濡れた顔をぐっと突き出すアメリカに少し驚いたがハンカチを持った手をそっと顔に近づける。
じっとこちらを見つめながら動かないアメリカに内心ドキドキしながらその白い頬に触れた。
その途端、アメリカの顔に触れていた手をがしっと掴まれる。驚いて大げさなほどに飛び上がってしまった。
「なっなんだよ?!」
「やっぱり綺麗だなって。子供の時から思ってたけど男の手じゃないよね」
「はぁ?!さっきから何意味不明なこと」
言ってるんだ、そう続くはずだった言葉は突然アメリカに指をくわえられた事で出てこなかった。
一本一本の指を丁寧に余すところなく舐めるアメリカ。
指を丹念に舐めるアメリカは驚くほどに扇情的で。胸がドキンと高鳴る。
「何、して・・」
「ん、紅茶の味がする」
「馬鹿!はな、せ・・・」
「自分で、ひき抜けばいいだろ」
「む、り・・」
指を引き抜こうにもアメリカの馬鹿力にかてる訳もないし、なにより体に力が入らない。
正直、腰が砕けて立ってるのもやっとだった。
チュ、と音を立てて指先を吸われ、いたたまれなくなって目をつむる。
指を5本とも舐め終わったアメリカが水音を立てて口からイギリスの手を解放する頃には、イギリス自体何もしていないと言うのに息が上がってしまっていた。
その様子を見上げて、アメリカが口角を上げて笑った。
「イギリスの手って本当に綺麗だ」
「っっ!ば、ばかぁ!!」
end
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