Ein Roman

□小さく開いた距離が始まり
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ドイツは、俺にできた初めての友達。

優しくて、強くて、かっこいい、ムキムキのドイツ。いつも厳めしい顔をしてるから、みんなに勘違いされちゃうけど本当はすっごく優しいんだ。
間抜けでヘタレな俺が失敗をしても、文句を言いながらいつも助けてくれる。


隣にいると落ち着くし、一緒に遊ぶと楽しい。

ドイツは俺の自慢の友達だ。



――いや、だった。




「イタリア?」


前を歩いていたドイツが数歩後ろにいた俺を不思議そうに振り返った。
夕焼けがドイツの端正な顔を照らして、ついその美しさに見とれてしまう。



「‥なぁに?」
「今日、なんか変じゃないか?」
「そう、かな」



困ったように首を傾げてみせる。


俺が変なのは全部が全部ドイツのせいだ。
ドイツと一緒だと動きがぎこちなくなるし、ドイツに触れられると正常な思考が出来なくなる。
目眩を起こすしドイツ以外が目無くなる。


この気持ちは知っている。
小さな頃、あのこに感じたこの感情。

駄目だ、駄目なんだ。この気持ちはあっちゃいけない。間違ってる。これは友達に感じていい気持ちじゃないんだ。


前を歩くドイツの背中を見る。
その大きな広い背中に胸がぎゅっと締め付けられ、涙が零れそうになる。

大好き、大好きなんだ。
愛してる、叶わない間違った恋なのにどうして俺に恋させたの、ドイツ。



「‥馬鹿ドイツ」
「何かいったか?」
「なーんにも」
「そういえばなんだか今日はずっと後ろにいるな」
「なんかそんな気分なの」
「そう‥か」



隣なんて歩ける分わけない。ドイツの横顔だけでこんなに胸が苦しいんだ。
横顔なんてみたら涙とか、感情とか色々耐えられなくなる。




(いつかまた何にも耐えずに堂々と隣りを歩けると良い・・)


そう思いながらまだ、俺はお前の背中を追い続けるんだ。


end
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