Ein Roman
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厳かなホテルのレストランに携帯の着信音が響く。その不釣り合いな音に眉間にシワを寄せながらも男が立ち上がり電話に出る。
レストランの中の人々もその音につられて彼を見たがスグに興味のなさそうに食事に戻る。
しばらくすると電話を終えた男が不機嫌そうな顔をして帰って来た。
「アーサー、電話フェリシアーノからかい?」
「ああ。もうフェリの方は終わったらしいぞ」
「えーっ早いなぁ、どうするんだいフランシス」
「お前らがイチャイチャしてるからだろ?お兄さん悪くないー」
フランシスと呼ばれた髭を生やした男がわざとらしくため息をつくと、当然の様にアーサーからワインのボトルが飛んでくる。
「テメーが潰す前にココのワインが飲みてーとか言い出すからだろ!」
「違いますー、アーサー達が飯食い終わった後もずっとベタベタベタベタ・・ってぎゃーっ!痛っ!」
「髭ぶち抜いてやるっ!!」
「いーぞ!もっとやれー」
「あのお客様・・」
「あ?」
どこからか取り出したピンセットでフランシスの顎髭を抜こうとするアーサーに一人の店員が声をかけた。
当然だ。何しろ彼らが馬鹿騒ぎをしている場所は世界に名高い高級レストランなのだ。
それに相応しい黒のスーツを身にまとった店員は申し訳なさそうに口を開いた。
「このような行為は他のお客様のご迷惑となりますので外で・・」
「うるせぇよ」
ッダーン!!
店員がみなを言い終わる前に銃声が響き、それと同時に店員が倒れた。
その場にいた者全てがその状態を飲み込めずに動きを止める。その中で先の3人だけが店員の死体の前で平然としていた。
「元ヤンを怒らせると怖いねぇ」
「元ヤンじゃねぇよ!ばかぁ」
アーサーが店員を打った銃をもう一度かちゃりとセットした。後の二人も同じように懐から銃を抜き出す。
その物騒なものにレストランの人間がやっと我に返り騒ぎ出す。
騒然とし出したレストランの中で銃を片手にアーサーがニヤリと笑った。
「じゃあ始めるか」
「待ってたぞ!!」
「おーおー若いねぇ」
レストランに銃声と悲鳴がこだました。
end
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