少年陰陽師
□鬼
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昌浩が亡くなった、その夜。
物の怪は独りで都の道を歩いていた。
「………。」
周りには誰も居ない。
「…っ」
覚悟はしていた。
人の命は儚く、脆い。
きっと彼は自分を置いて去って行くだろう―と。
そして…其の覚悟はずっと先の事だと思っていた。
そう、思いたかった。
しかし彼は既に此処に居ない。
隣に有るのは虚ろな空間だけ…。
暖かな温もりなど微塵も感じさせなかった。
「――…なんで、」
――――なんで逝ってしまったんだ―――昌浩――。
闇に包まれた都内で白い物の怪の姿はとても映えた。
其の姿はさながら何かを捜し彷徨い続ける幼子のごとく――。